「『本当は野球がしたい』。そう思っている女性は絶対にいる」。関大で唯一の女子チーム「関大Squeeze(スクイーズ)」の神崎主将(2年)は真剣なまなざしを向ける。女子学生でも野球に打ち込める環境を求め、チームを立ち上げた。

 大学から昨年7月に準登録団体に認められたばかり。経験者が少なく、メンバーを定着させることにも苦労する。一時期は13人いた選手も、現在は試合に必要な9人を満たしていない。だが、選手たちはひた向きだ。「まずはメンバー集め。達成できれば、リーグ戦で他大学と競いたい」と、気持ちを一つにする。

 神崎に誘われ加入した太(ふとり)(1年)は「ずっと野球がしたかったから、誘われてうれしかった」と白い歯を見せる。プレーがしたくても中学や高校に野球部がなく、諦めざるを得なかった。そんな学生の夢を叶える場所を目指す。

 チームとしては初の公式戦となる全日本大学女子選手権に、昨年8月出場を果たした。準優勝を収めた至学館大と初戦で対戦し、1—15で敗れたが、野球未経験だった大西(1年)の内野安打で1点をもぎ取った。

 強豪相手の健闘が評価され、爽やかなプレーで大会を盛り上げたとして小野山賞(爽やかプレー賞)をチームで獲得。「初めての公式戦で名を残せて自信になった。賞に恥じないよう頑張らないと」と神崎は気を引き締める。

 ボールを地面に転がして取ったり、投球姿勢を身に付けたりと地道に基礎を固める日々。チームを率いる八木監督は「全くお膳立てのない、ゼロの状態からチームを作るのは大変なこと。選手は芯が通っている」と太鼓判を押す。今日も懸命に白球を追い掛ける。

【おことわり】
3・4月号では学生の学年を、3月までの学年で表記しています。