【3・4月号掲載】学生演劇 頂点競う
各地方の学生演劇祭を勝ち抜いた学生劇団10組が日本一を競う「全国学生演劇祭」が2月24〜27日、ロームシアター京都(左京区)で行われた。今年で2回目の開催となる。関西からは立命館大の「劇団西一風(しゃあいっぷう)」と「幻灯劇場」、同志社大の「劇団なかゆび」が出場。劇団西一風と劇団なかゆびは、審査員賞を獲得した。
上演時間は各劇団45分以内。期間中は3、4劇団ごとに三つのブロックに分かれ、ブロックごとに3回ずつ作品を上演した。
演者は2人のみで、上演のたびに異なる演出を行った劇団なかゆび。「45分間」と題した作品を演じた。観客へ呼び掛ける場面も多く、審査員を務めた劇作家の松田正隆さんは「客席とリンクしていて観客に当事者性を持たせた」と評した。
幻灯劇場はコインロッカーに捨てられ、ロッカーを母と呼ぶ兄弟の物語「DADA」を上演。シリアスな話の中にコメディー要素や歌、ダンスも交えて観客を魅了した。今回は「DADA」の本来の脚本を大幅に短縮して上演し、今後の公演で全編を公開する。
幻灯劇場の橘かれんさん(立命館大・3年)は「ロームシアターができた時、京都が活気づいたように感じた。そんな舞台に自分たちが立てたのは、光栄でぜいたくなこと」と出演の喜びを語る。「DADA」の脚本を手掛けた藤井颯太郎さんは「(自分たちは)若いのでオリジナリティーに注目されることが多い。だが、自分のビジョンを持つことが大事」と語った。
27日の全公演終了後には授賞式が行われた。審査員の劇作家、長谷川孝治さんは講評として「学生演劇というくくりではなく、現代の演劇への問い掛けになるような作品にも出合えて興奮した」と述べる。結果は、審査員賞と観客賞の両方を受賞した多摩美術大の「シラカン」が大賞に輝いた。
第3回の開催へ向けて、「学生演劇のトップランナー100人を日本中から京都に集結させたい!」をテーマに3月19日夜までインターネット上で資金を集めるクラウドファンディングも実施。集まった資金は、次回開催時に参加学生らの旅費へ充てられる。参加学生自身が負担している旅費の合計150万円のうち10万円が目標。
【おことわり】
3・4月号では学生の学年を、3月までの学年で表記しています。
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