不登校やいじめに悩み、居場所を失った子どもたちが集う駄菓子屋を舞台にしたドキュメンタリー映画「ぼくと駄菓子のいえ」が、大阪西区の映画館「シネ・ヌーヴォ」で2月4日から公開された。監督は大阪芸術大4年の田中健太さん。店主の松本明美さんと子どもたちの交流を3年間を通して撮影し続けた。
 舞台は、大阪府富田林市に位置する駄菓子屋「風和里(ふわり)」。学校帰りの小学生が多く訪れ、店内は笑顔で溢れている。しかしその中には、両親の離婚や育児放棄(ネグレクト)、不登校に悩む子どもたちの姿も少なくない。心に傷を負い、居場所を求める子どもたちに、優しく、時には厳しく叱咤激励する松本さん親子の様子に密着した。
 撮影のきっかけは、「ゆきゆきて、神軍」でブルーリボン賞を受賞した原一男監督による大学の授業。大学1年時に「魅力的なおばあちゃん」をリポートする課題を出され、風和里に立ち寄って松本さんと出会った。
 自身も中学の3年間、不登校でほとんど学校に通えなかった田中さん。風和里に通うなかで、居場所を求める子どもたちと共感する部分も多かったという。「カメラを回さずに、風和里の店先で駄菓子を食べたり、公園で遊んだりとコミュニケーションを対等に取ることを意識した」と話した。子どもたちも次第に撮影を受け入れていったという。
 「ぼくと駄菓子のいえ」をより多くの人に見てもらえればと話す田中さん。「就職してからも、自分が撮りたい映画を突き詰めていきたい」と話した。
 「ぼくと駄菓子のいえ」は3月3日まで、シネ・ヌーヴォにて上映予定。  
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