近畿大は昨年12月、神戸市や大手コーヒーチェーン店「スターバックスコーヒージャパン(スタバ)」と共同で、スタバの店舗などで排出された廃棄物を再生燃料にする実証実験を始めた。近大が開発した植物由来の固形燃料「バイオコークス」の技術を生かす。
 バイオコークスはコーヒー豆のかすや紙コップ、落ち葉など植物性由来の廃棄物を高温下で圧縮して作る固形燃料。2005年に近大バイオコークス研究所(北海道恵庭市)の所長、井田民男教授が開発した。原料の全てを再利用するため、製造時に廃棄物が発生しない。近大によると、二酸化炭素の排出量が石炭コークスに比べ少ないため、環境に優しく、化石燃料などの資源枯渇や輸入価格変動のリスクも回避できるという。
 実験では市内のスタバ5店舗から排出される廃棄物を使い、同市兵庫区にある近大の実験場でバイオコークスを製造。市内の街路樹の剪定(せんてい)で出た枝や落ち葉なども使う。
 取り組みは環境省の補助金を受けながら2月末まで行い、将来は店舗で使う暖房の燃料などへの活用も見据える。
 神戸市は環境貢献都市KOBEを掲げ、生物由来の再生可能エネルギーの活用を進めている。身近な廃棄物をバイオコークスに転用することで、市民が資源の循環を実感できるようにしたい考えだ。
 市内のごみの分別や効率的な運搬方法も調べ、将来的な実用化をねらう。