日本の大学で初めて総長の学内公選制を導入するなど、京都大が先駆的に取り組んできた「大学自治」を 振り返る企画展「京都帝国大学の『大学自治』」が、京大百周年時計台記念館の企画展示室で開かれている。 展示は政府から大学側への圧力が強かった戦前の日本で政府との駆け引きを繰り返し、自治を得た京大の歴史を知ってもらおうと京大大学文書館が企画した。

 高校の日本史の教科書にも登場する「滝川事件」(1933年)など、三つの事件を35点の学内資料や日記、刊行物で読み解く。

 08年の「岡田総長退職事件」では、岡田良平総長の文部次官の兼任に反発した教授陣が、総長の退職と次期総長の学内公選を目指した。教授陣が元老の山県有朋に宛てた書簡からは、要求実現のため熱心に抗議をした様子を垣間見ることができる。13年に沢柳政太郎総長が7人の教授を独断で辞職させた「沢柳事件」では教授らが経過をつづった手記が残されていて、総長と教授の間の溝の深さを伝える。沢柳総長は退職に追い込まれ、08年の事件で果たせなかった総長の学内公選も19年に実現された。他にも、33年に自由主義的刑法学説を主張する滝川幸辰教授が休職処分を受けた「滝川事件」に関連した展示がある。

 展示を担当した同文書館の西山伸教授は、国から国立大学へ支給される基礎的な経費「運営費交付金」が年々減らされるなど現代の大学運営の難しさを指摘。「大学を取り巻く環境が大きく変わる中、『大学の自治』の在り方が問われている。展示を見ることで、深く考える機会になれば」と話していた。

 入場無料。11月6日まで。10月23日は休館。開館時間は午前9時30分から午後5時。

vol.326