【9・10月号掲載】【特集】煽りや萌えキャラ見え隠れする意図 大学広告の意義とは③
□なぜ京都学園大は太秦そのを作ったのか
京都学園大は公式の萌えキャラを制作した。かわいらしくデザインされた「太秦その」は、京都学園大に通う女子学生という設定だ。
「太秦その」誕生のきっかけは、2015年4月の京都太秦キャンパス開設だった。新キャンパス、さらには大学自体を宣伝しようと、京都市営地下鉄・市バス応援キャラクター「太秦萌」を制作していた京都市交通局に話を持ち掛けた。当初「萌」を起用する案もあったが、大学や入試の広報などにおいて高校生の「萌」では設定にずれが生じてしまうため、新たに「萌」のいとことして「その」が生まれた。
予定していたのは、インターネット上で話題を呼ぶこと。そこで大学としては珍しい、全編アニメーションのCMを放映することに。14年の第1シリーズでは、京都太秦キャンパス開設や4学部10学科体制開始を告知した。
「その」が広告で登場するようになると、SNSなどで京都学園大の関係者以外の人たちが広告を拡散するという、予想外の効果もあった。公式の萌えキャラを制作したことに関して「斬新な手法だと評価してくれるポジティブな声が多い」と広報課の担当者。学生からは「『太秦そのの京都学園大』と紹介できるようになった」などの声が寄せられたという。
珍しい大学公式の萌えキャラ「太秦その」。今後もさまざまなメディアで京都学園大をアピールする予定だ。
□編集後記
学生は大学広告に賛否両論――。学生を対象にしたアンケートの結果から分かったことだ。しかし大学を対象としたアンケートでは、回答が得られた全ての大学で、広告効果は「ある」とのコメントが返ってきていた。日経BP社が発表する「大学ブランド力上昇率」において2年連続1位を獲得した近畿大のように、外部調査での成果が出ている大学もある。大学の広告は受験生や在学生だけでなく社会にも影響をもたらし、結果ブランド力の向上につながっていることが分かる。
さまざまな意図で打たれた大学の広告。実はあなたも、普段ふとした時に大学広告に目を向けているのかもしれない。
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