【9・10月号掲載】設計から手掛ける 浜茶屋
大学で建築を学ぶ学生を中心に、福井県高浜町で浜茶屋「青空Kitchen」の設計、施工、運営を行った。大阪大や大阪工業大など学部1年生から修士課程を含めた学生50人がプロジェクトに携わった。
「浜茶屋」とは、一部地域で使用される海の家の別称。プロジェクト発足の背景には、建設地となった若狭和田海水浴場が優れたビーチなどを対象とした国際環境認証「ブルーフラッグ」を今年アジアで初めて取得したことがある。高浜町が大阪市の建築設計事務所を介して呼び掛けたところ、「ブルーフラッグを取得した年だからこそ、やれることはあるはずだ」と意気込む学生が集まった。
プロジェクトが始動したのは5月。メンバーが設計作業を行った後ミーティングをし、運営プランを詰めていった。およそ2週間の施工期間を経て7月20日に開店。8月22日までの間、店を運営した。「お客さんや地域の人の反応を受けて改善していけた」とプロジェクトを先導した藤本雅広さん(大阪大・修士)は語る。試食の機会を設けたり、列を待つための場所を作るなどの試みを行うなど随時、店の改善に取り組んだ。「プロジェクトは今年だけではなく、来年度にもつなげることが重要。そのために町との関係をつくることが大事」と藤本さんは語る。日中は店を開け、夜は地域からの古民家の改修依頼を受け、話し合いをするなど、さまざまな形で住民と関わり来年への土台作りを進めた。
浜茶屋は8月24日に解体され、今月12日にはプロジェクトの最終報告会が地域住民に向けて行われた。浜茶屋に使われた資材の一部は再利用でき、保管されている。藤本さんは「来年のプロジェクト実施に向けて今後も活動を進めていきたい。また、今回プロジェクトで培われたメンバー間のつながりは今後の活力となるだろう」と展望を話した。
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