京都大は中高生に向けたゲーム型エンターテインメントサイト「探検!京都大学」モバイルサイト版をことし5月に開設し、話題を集めている。2014年に就任した山極寿一総長の「『おもろい』ことをどんどん仕掛ける大学へ」というメッセージを基にした「主体的に仕掛けるブランド戦略」の一環として京大らしさを実現する。
 同サイトは昨年4月に公開された特設サイト「探検!京都 大学」のモバイル版として制作された。PC版と同じく京大のフィールドワーク体験ができる他、ゲーム要素を追加しクイズの内容を充実させた。
 バーチャル京大「惑星京都大学」を舞台に、プレイヤーはイカ京(いかにも京大生)になりきる。実在する学生や研究 者をモデルとした「神イカ京」や「こじらせゴリラ」といった個性豊かなキャラクターたちにトラップを仕掛けられたり、いちいちめんどくさいハプニングに巻き込まれたりする ため、ゲームはなかなか進行しない。
 もちろんゲーム制作の裏にも「めんどくさい」こだわりがあふれる。企画は昨年10月から広報課により進められ、完成に向けて制作会社と何度も調整や検証を繰り返した。よりマニアックなネタを取り入れるため現役京大生からも情報収集を行ったという。
 めんどくさいことは一般的に消極的にとられがち。しかし、思い通りにいかないことも遠回りすることで、新しい発想や思想に出会い、思いもよらないひらめきが生まれるという考え方を、京大は「回り道の精神」として大切にする。プレイヤーもめんどくさい仕掛けが盛り込まれたゲームを進行していく 中で京大の「回り道の精神」を体験し、楽しむことができる。
 広報課の山下武史さんは「ぜひゲームに挑戦し、京大のディープな魅力を発見してほしい」と話す。クリアするためにはスマートフォンのバッテリーを大量に消費する「めんどくさい」ゲーム。イカ京になりきって一度体験してみてはいかがだろうか。
(聞き手=清水綾里)

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