7月の京都といえば、日本三大祭りとして知られる「祇園祭」が行われる季節。笹の葉で作られた厄病・災難除けのお守り「ちまき」は、祭りの名物として知っている人も多いのではないだろうか。山鉾の一つ「綾傘鉾」の保存と運営を行っている綾傘鉾保存会では、14日から16日にかけて佛教大の学生たちがボランティアとして「厄除けちまき」を販売した。
同大学の歴史学部がで開講している「祇園祭研修」の担当教員の八木透教授が、保存会の理事を務めていることがきっかけで、2001年から毎年学生がボランティアを行っている。受講する学生は祇園祭の歴史や鉾にまつわる知識を学ぶ。授業の集大成として、綾傘鉾保存会で鉾引きや来客者の接待などのさまざまなボランティアに挑む。保存会の売店で飲み物を販売していた山本玲奈さん(佛教大・2年)は「去年ボランティアに参加した人の話を聞いて、やろうと思った」と話す。学生の間でも活動の評判は高いようだ。
先月26日には実際に「厄除けちまき」作りを行った。参加した学生らはおよそ4000個ものちまきを完成させた。同保存会のちまきには大原神社(京都市下京区)のお札が付いていて、縁結びのアイテムとして人気だ。参加した冨田薫さん(同大・2年)は「作業工程が細かくて大変だった」と話した。
八木教授は「町内の住民がだんだん地元の保存会に参加しなくなっている」と、保存会の現状を語る。祇園祭の山鉾は、町単位で結成される保存会が運営している。教授によると、保存会の会員がさまざまな理由から転居し、祭りに携わる町内在住の会員が減少している。今回の祭りに参加する会員の中で、町内に住んでいるのは3人だけだという。
「伝統行事のバックアップとして、学生の力は不可欠なものになっている」と八木教授は評する。保存会からも「とてもまじめ」と評価され、今や無くてはならない存在となっている学生ボランティア。夏の京都を彩る祭りの盛り上げに一役買っている。
(聞き手=山崎祐貴)

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