「京都大学ブーメランサークル く」は2004年に設立され、現在は18人で活動する日本唯一のブーメランサークルだ。活動は週に1回、京大吉田南構内グラウンドでの練習の他、月に1回の合同練習、ブーメラン制作を行う。
サークル名の「く」はブーメラン独特の形状が由来。「ローマ字にすると『ku』。偶然にも※京大の意味にもなる」と副会長の今村洸輔さん(工・2年)は語る。
「勘違いしている人は多いが、ブーメランは縦に投げるもの。パワーももちろん、回転をかけることが重要」。今村さんは投げるコツをつかむまで、相当の時間がかかったという。「始めた当初はうまく戻らず、走り回ることも。案外ブーメランはスポーツ」と苦労を振り返る。
「く」の部員は、日本ブーメラン協会が主催する国内外の大会に出場している。種目には、最初に投げた瞬間から5回キャッチして半径2m円内に身体の一部が入った瞬間までの時間を競う「ファストキャッチ」、半径2m円内からブーメランを投げ、20m以上の飛距離を得て、いかに投げた地点の近くに戻って来たかを競い、その合計得点で順位を決める「アキュラシー」など種目は多い。会長の楠山直征さん(工・2年)は「大会に出場する学生チームは世界でもめずらしい。学生代表として頑張りたい」と期待を背負う。
大会で結果を出すために、ブーメランの自作は欠かせない。倉庫には形状や材質の違ったさまざまな種類のブーメランが約100本保存されている。くの字型は長距離に特出、3枚翼はスピード重視など、1本1本特質があり、奥は深い。やすりや電動のこぎりといった工具が揃い、制作環境が整っているため、最も自分に合った形状を追求することができる。
過去に卒業生の数人が世界の舞台へ出場を成し遂げた「く」。しかし、部員不足で悩まされる時期もあった。現在は、同大へ11月祭への参加や合宿を予定し、サークルの安定化を目指している。楠山さんは「今年の1年生は積極的。これから部員のモチベーションを上げていきたい」と意気込む。長期的な目標としては、2年後の世界大会出場を掲げている。
※「Kyoto University」の略

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