VOL.307 文化を担う者
大阪大学、夜の豊中キャンパスに響く不思議な音楽。インドネシアの民族音楽、「ガムラン」である。演奏しているのは、学生と社会人で構成されたグループ「ダルマ・ブダヤ」。「文化を担うもの」という意味だ。
ダルマ・ブダヤの歴史は長く、1979年にさかのぼる。植野アジア芸術文化振興財団との共同事業として、大阪大文学部音楽学研究室を拠点に結成された。メンバーによる月2回ほどの練習のうち、一般の人が体験できる「日曜ガムラン」を1回行っており、阪大の「いちょう祭」「まちかね祭」での演奏とワークショップなど、精力的に活動している。
メンバーがガムランにひかれる理由はさまざまだ。いちょう祭で出会い、練習を見学したらいつの間にか夢中になっていた。地元の大学で演奏を聴いて、ガムランを研究したいと思った。ビートルズをきっかけに民族音楽を聴くようになり、ガムランにたどり着いた。学生から社会人まで、さまざまな人がさまざまな場所でガムランと出会い、ここ、「ダルマ・ブダヤ」に集まった。
ガムランの魅力について尋ねると、いろいろな答えが返ってくる。「老若男女、誰もが楽しめる」「指揮者がいない。みんながお互いの音を聴きあって演奏するので、1人ではできない」「演奏をするだけではなく、研究もしたいと思っている」。気軽に始めることができ、何年続けても新たな発見がある奥の深さが、彼らを魅了していると言えるだろう。
当初は学生主体であったダルマ・ブダヤだが、現在は学生2人、社会人10人程度で活動している。就職などの都合で、ダルマ・ブダヤを続けられなくなってしまう人も多いのだという。「今日、大学は地域との連携も推進している。学生だけのサークルも勿論よいが、地域のいろいろな年代の人と活動できるダルマ・ブダヤにぜひ来てほしい。社会に出る上で、きっと糧になる」と代表の山崎晃男さんは話す。
今月の日曜ガムランは、6月12日、阪大文学部芸術研究棟にて行われるほか、6月19日(日)、国立民族学博物館(大阪府吹田市)にて開催される「音楽の祭日 2016 in みんぱく」に参加し、ガムラン演奏とジャワ舞踊を披露する予定だ。ダルマ・ブダヤの活動は、Facebook(https://www.facebook.com/DharmaBudayaJapan)にて発信されている。
(聞き手=篭島玲)
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