【特集】大震災 どう備える 阪神・淡路大震災21年①
1995年に発生した阪神・淡路大震災から17日で21年を迎える。また、3月には東日本大震災から5年が経つ。きたる巨大地震に向けて、大学・学生の取り組みや、災害への心構えを探った。
●学内の安全確保へ 耐震・備蓄など進む
地震災害の発生に備え、大学では建物の耐震改修が進んでいる。大阪大ではほぼ全ての建物の改修が完了しているという。「耐震は十分だと思うので、おそらく倒壊することはないだろう」と安全衛生管理部の担当者は話す。また、地震が発生した際に学生や教職員が帰宅困難となることを想定し、最大7〜8千人が3日間大学内で過ごせるよう、食料や水を備蓄。他にも、救急箱やマスク、毛布、発電機、マルチラジオなども常備している。
神戸大では、化学薬品管理システムを用いて危険物を扱う研究室を全て把握。高圧ガスボンベには転倒防止のための固定設置を義務付けるなど、安全管理について具体的に大学が指示を行う。阪大でも、職員が各研究室を巡視し、危険物の管理方法など、安全管理が適切に行われているかを点検しているという。
●避難訓練・安否確認 課題も残る
関西大では、学生や教職員らおよそ1万人に加え地域住民も参加する避難訓練「関大防災Day」を毎年秋に実施している。震度6強以上の地震が2限の講義中に発生したと仮定し、講義を中断し教職員が学生に避難を指示。学生は指定された場所で安否確認を行う。また備蓄倉庫から2種類のシチュー約2千人分が、学生ボランティアや事務職員により炊き出しとして振る舞われる。避難訓練で生じた不具合は翌年の課題となり、対策が練られる。
地震発生時、関大は主に2つの方法を使い安否確認を行う。「安否確認シート」を構内にいる学生に配布し記入するのに加え、2014年からは「緊急連絡メールシステム」を導入した。あらかじめ登録しているメールアドレスに安否確認のメールを送信し、導入前に比べ構外にいた学生の状況をスムーズに確認できるようになった。当初は学生のみが対象だったが、15年からは教職員にも送信されている。
神戸大も毎年防災訓練を実施している。昨年11月に地震と火災を想定して行われた訓練では一部の部局の教職員が対象になった。また大学近くに住む職員が、徒歩や自転車で大学に出勤する「参集訓練」を初めて導入。職員の自宅と大学までの距離や所要時間を把握した。
一方、学生を対象とした全学的な避難訓練は行われていない。地震発生を想定して指定時刻に身を隠すなどの安全確保行動をとる「シェイクアウト訓練」への参加は呼び掛けられているが、授業時間と重なる場合は担当教員の判断に委ねられている。総務部総務課の担当者は「学生の避難訓練は今後の課題だ」と話した。
また、神戸大では安否確認システム「ANPIC」を導入している。学生の安否確認のため、兵庫県や隣接する府県で震度5弱以上の地震が発生すると、教務情報システム「うりぼーネット」に登録されているアドレスにANPICから自動でメールが送信される。14年4月から導入され、防災訓練においても訓練メールが送信されている。
実際の災害時には電話など他の手段も使って安否確認を行う方針だが、「SNSなども普及しているが、今のところメールを用いるのが最も正確で効率的な方法だ」と担当者は話す。
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