留学生や日本に住む外国人に対し、日本語を教える場を設け、その学習を支援する。「NPO法人 市岡国際教育協会 日本語教室」という団体で、ボランティア活動をしている京女生がいる。藤川莉帆さん(大現・4年)だ。彼女が活動を始めたのは今年4月。昨年1年間、アメリカの大学に留学していた際、市岡日本語教室のような活動に英語を学ぶ生徒側として参加したことがきっかけとなった。現地の人々と会話することで、語学学校などでは得られない生の会話を体験できたのだという。

 教室では毎週金曜日の午後7時から約1時間30分、ボランティアの「先生」が外国人の「学習者」に1対1で付き、授業を行う。一口に授業といってもその形は人それぞれ。藤川さんは主に、学習者が日本語学校で学んだ内容のおさらいや、日常会話、学習者が持つ日本語に関する疑問への回答などを行っている。疑問の内容としては、「さらさら」と「つるつる」の違いや、なぜそれらの語を2度繰り返すのか、など難しいものも多いという。

 藤川さんは現在、香港からの留学生とペアを組んでいる。先生と生徒というよりは、知人・友人関係に近いのではないか、と藤川さんは話す。8月には2人で「SUMMER SONIC 2015」に出かけ、今後一緒に旅行をする約束もしているという。10月に行われた教室の20周年記念式典では、ペアを組んでいる香港からの留学生がスピーチをすることになり、サポートをした。また、七夕には笹飾りを一緒に作り、浴衣の着付けを教えたという。さまざまな行事が催されることも教室の魅力だろう。

 「外国語を学ぶ上で、教科書や辞書を使ってもどうしてもわからない部分は出てくる。細かいニュアンスを自分が説明することによって、学習者が理解したときに、やりがいを感じる」と藤川さんは語る。今後の目標は、卒業しても活動を続け、学習者に多くを学んでもらい、自分の教え方を向上させること。また、自身の卒業論文で日本で学ぶアジア人の学生をテーマとして取り扱うため、さらに異文化理解を深めたいと意気込む。

 教室には現在、約80人の先生と、約50人の学習者が在籍している。先生になるにあたって経験や資格は不要。見学も随時受け付けている。ボランティアの年齢層はさまざまで、下は藤川さんの世代から、上は80代までいる。しかし、藤川さんと同年代の若年層が少ない。「ぜひ活動が広まり、若い世代のボランティアが増えてほしい」と話す。

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