就職活動のスケジュールが再度見直される。経団連は、来年の就活における選考活動の解禁時期を、現在の8月から2カ月早め、6月とする方針だ。企業説明会など広報活動の解禁は3月と、現行のまま。各方面からの批判を受けての改善案だが、性急な変更に学生が煽りを受ける。

 「学生が学業に専念できるように」との政府からの要請で、2016年卒から3月に広報活動解禁、8月に選考活動解禁と、スケジュールが後ろ倒しとなった。しかし、8月以前から水面下での選考活動が横行したとみられることや、就活が長期化し学生の負担が大きかったことなどに批判が集まり、経団連は見直しに踏み切った。

 6月から選考活動が始まると、教育実習や院試と時期が重なってしまう。教育実習や院試を考えている学生を考慮して選考が進むとは限らないため、両立を強いられることとなりそうだ。また、説明会から選考解禁までが約3カ月となり、エントリーシート(ES)の準備期間が短くなる。

 株式会社アイデムの岡崎幸宏さんによると、6月から一斉に選考活動が始まるとは限らない。解禁前から水面下で選考活動を行う企業もあると考えられるほか、すでにスケジュールを決めてしまっているために、8月から選考を始める企業もあるとみられる。「16年卒と同様のスケジュールで選考活動を進めようと考える企業が多いのでは」と岡崎さんは指摘する。

 一方、既に志望する業界が決まっている学生は、短期間で就活を終えることができる。岡崎さんは「中だるみではないが、内々定が出された後(8月からの選考開始まで)少し期間が空いたのは改善されるだろう」と話す。8月に内定を得られなかった学生が9月以降も就活を続けていた点も改善が期待される。

 再来年以降のスケジュールについては「毎年毎年変えることはないとは思うが、どうなるか分からない」と岡崎さんは話す。「3月解禁だからと言って3月になってからではなく、すぐに動き始められるように準備を進めておく方が良い」。経団連の決定に振り回されないためにも、早くから就職を意識する必要性が増している。