京都市山科区に位置する京都大学大学院理学研究科附属花山(かざん)天文台。10月10日から12日にかけて、「花山天文台Galleryweek2015」が開催された。京都大学宇宙総合学研究ユニットの教育研究の一環として実施され、大学院生ら3人を中心とした企画運営チームが主導する。

 今年で3年目の花山天文台Galleryweek。花山天文台での展示経験がある3人の作家を招いて作品展示を行った。いずれも花山天文台本館のつくりを生かした作品で、本館を見学するうちに作品を発見することができる。

 また1日1回、ワークショップ「星を打つ工房」が開かれていた。河村聡人さん(理学研究科・博士課程)による星座の役割や歴史の解説の後、「天文学者の机」を出展した淡嶋健仁氏の説明で参加者それぞれが星を打った。並べられた秋冬の星座の中から何かの形に見えたものを選び、ペンで線を引き星の部分に金槌で穴を開け、思い思いのオリジナル星座を作る。最後に自分の選んだ星座が実際は何座と呼ばれているのかを発表したところ、参加者5人中3人が同じくじら星座を選んでいたことがわかった。同じ星の並びから色とりどりの星座が作り出された。

 2013年から開催されているGalleryweekは、天文台を研究以外の用途でも活用していこうという意図がある。「狭い意味での研究や教育に限らない使い方を模索していきたい。今回の芸術表現の場としての利用もその一つ」と、玉澤春史さん(理学研究科・博士課程)は話す。1929年に設立されてから、一線の研究機関として活躍していた花山天文台。1968年に観測の主力が飛騨天文台へ移ってからは、研究に加えて教育活動やアウトリーチ活動の拠点として活用されている。

 普段は入ることのできない花山天文台だが、随時開催されるイベントや毎年の一般公開の際には見学が可能だ。今年の一般公開は10月17日に終わってしまったが、当初予定の300人を超えて500人近い来台者が集まり大盛況だった。初めて訪れたという子ども連れの女性は「太陽のフレアなどの宇宙の現象について、子ども向けにわかりやすく説明してくれた」と話す。

 花山天文台に訪れて、宇宙をほんの少し近くに感じるひと時を過ごしたい。

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