春季リーグ戦5勝9敗の戦績で、3季連続5位に沈んだ同志社大。下位脱出に向け、チームに光が差し込んだ。福島孝輔。春季リーグは防御率2.58の成績を収め、一年生で唯一、投手10傑に名を連ねる。ルーキーながらチームトップの3勝を挙げ、同志社の勝ち頭に躍り出た。

  大学でのリーグ戦初登板は4月12日に行われた第2節、近畿大との2回戦。3―0と劣勢の中で八回から登板した。「試合では緊張しません。思いっきり腕を振って投げました」。この回を無失点に抑え、直後にチームは逆転。初登板で勝ち投手となった。

 一番印象に残っているという試合は、春季リーグ戦最終節、立命館大との2回戦(5月24日)。前日にチームは敗戦、後がない状況で先発のマウンドを任された福島。強力立命打線を相手に、8回を投げて1失点。本塁打による失点のみに抑え込み、チームは延長11回にサヨナラ勝ちを収めた。

 同志社は投手、野手の練習が別々だ。「高校では全体練習があったが同志社は違う。いい意味でやりたいことをさせてもらっています」と笑みをこぼした。目標とする選手は大阪桐蔭時代の先輩、葛川友哉投手(2・青山学院大)。福島にとっては追いつき、追い越したい選手でもある。毎晩練習を共にし、多くのアドバイスをもらったという。
 
 高校3年の夏、エースとして大阪桐蔭を甲子園制覇へ導いた福島。同じ甲子園の土を踏んだ同世代の選手たちも、この春活躍をみせた。ライバルは「いません」。好きな野球選手は「いません」。モットーは「平常心です」と落ち着いて回答するも、日常生活では「単位が取れるかどうか心配」と漏らし、大学生らしい一面も垣間見えた。

 9月5日に行われた秋季リーグ開幕戦。怪物右腕は大事な初戦のマウンドを託された。渋谷卓弥監督は「試合をまとめる能力がチームで一番高い」と起用の理由を話す。その言葉通り、福島は昨春2位の近大を相手に八回を投げて被安打5、1失点にまとめあげた。しかし四回に迎えた一死満塁のピンチでボークの判定を受け失点。それが決勝点となり敗戦投手になるも、要所を締める投球で試合をつくった。

 「万全の調子だっただけに悔しい」。開幕投手デビューをそう振り返るも「自分が投げる試合は全部勝ちたい」と決意を胸に込めた。迎えた大学生活2度目のリーグ戦。高校時代に頂点に立った怪腕ルーキーが、関西の猛者たちをねじ伏せる。

【一問一答】
◇野球をはじめたきっかけ
父親の草野球について行っていて、物心ついた時(3歳ぐらい)から野球が好きだった

◇好きな野球選手
いない

◇ライバル
いない

◇モットー
平常心

◇ゲン担ぎ
長風呂

◇アピールポイント
粘り強い投球。ピンチの時には意識してる

◇好きな食べ物
唐揚げ

◇好きな時間の過ごし方
友達と遊ぶ。テレビを見る

◇日常生活の悩み
単位がとれるかどうか

●ふくしま・こうすけ(投手)
右投左打
大阪桐蔭高校出身
1996年5月23日生まれ
180cm・80kg
50m走6秒5
遠投100m