大阪商業大アミューズメント産業研究所(東大阪市)で毎年開催される特別展示企画。今年は「昭和のゲーム大集合展」と題して8日まで、バラエティー豊かなゲームの数々が展示され好評を博した。企画したのは、日本におけるゲーム史研究の第一人者・高橋浩徳(ひろのり)研究員だ。「古い」だけでは片付けられない昭和のゲームの魅力、そしてゲームを研究する意義について高橋研究員に話を聞いた。
 今年は「昭和90年」というタイミングもあり、昭和のさまざまなパズルゲーム、カードゲーム、ボードゲーム、電子ゲームなどを入場無料で展示。体験コーナーも設けた。「見ごたえのあるゲームがこれだけあったんだと知ってもらいたかった」と高橋研究員は企画の意図を語る。
 1960年生まれ。子どもの頃からいろいろなゲームでよく遊び、その構造に興味を持つ少年だった。大学卒業後は就職し、ゲームは「趣味」。大人向けに楽しいゲームを普及させる活動を行うサークルに入った。当時の日本人は仕事づけで、「休み方が下手だった」。魅力あるゲームを広める必要を感じ、「奥が深いわりに誰も調べていない」ゲーム研究の道に。自身とともに「遊戯史学会」に所属していた同大の谷岡学長に誘われ10年ほど前に同研究所の研究員となった。
 読書や映画鑑賞などに比べ、ゲームは能動的な趣味だ。自分が関わることで勝敗などの結果を変えられるため、努力する価値を知ることができる。また、子どもはゲームを通してスポーツのルールや地名を覚えていく。ゲームが世の中のシミュレーションになるのだ。一方、人間を現実逃避させるとネガティブな評価もされるが、「現実から離れることで癒し・リフレッシュの効果がある」とメリットを強調する。
 ゲームの普及に努めてきた高橋研究員だが、現代のPCやスマートフォンで遊ぶゲームは、人を熱中させる力があるだけに危ないと見ている。多くの人がゲームで遊ぶようになった今は、逆に「いかにゲームをしないようにさせるか考えないといけない」とも。ゲームのせいで日常生活の他の部分をおろそかにしてはならず、「酒・たばこが規制される必要があるように、ゲームもそうなるのでは」と語った。大学生に向けて「ゲーム会社は時間と金を奪おうとしてくるので気をつけて。(ゲーム会社に)踊らされるのではなくて本当に良いと感じるものに触れてほしい」とメッセージを送る。
focus vol.265