vol.261 学生が発信 オシャレな高齢者
神戸芸術工科大の学生ら5人が今年4月、高齢者にスポットを当てたファッションスナップブログを開設した。その名も「Siwa」。人はしわの数だけ服装に思い出や深みがある、という発想がタイトルの由来だ。若者のオシャレとは一味異なる、高齢者のファッションに魅了された学生らに話を聞いた。(ブログのURL:http://patch-siwa.jimdo.com/)
現在5人の学生で運営しているSiwa。代表の村上竜一さん(デザイン・3年)が知人のデザイナーから案をもらい、友達つながりでメンバーを集めてブログの開設に至った。文章を書くことが好きな人や、写真が得意な人が集まり、それぞれライターやカメラマンとして活動している。
神戸の街で午前10時から正午にかけて、モデルとなる高齢者を探す。しかし、ただオシャレな人を探すわけではない。村上さんは「色使いだけでなく、人柄が服装ににじみ出ているモデルを探している。そういう人からは、何か持っている、という感じがする」と話す。だが、イメージしているモデルが見つからない日も少なくない。また、ふさわしい人が見つかっても、撮影に応じる人はごくわずか。ライターの秋田さゆりさん(同・4年)は「まず声をかけるのが緊張するし、声をかけても(撮影に対して)遠慮したり子どもをあやしていたりする人が多く、断られることが当たり前と思っている」と苦労を語った。
若者をターゲットにすることとは異なる難しさを感じながらも、活動は充実している。秋田さんは「(モデルになる人は)とても元気で力をもらえる。服の勉強というよりも、人柄を知れる良い機会。モデルの良さをどう伝えるか、ということにやりがいを感じている」とにこやかに話した。
当面は週1回、きちんとブログを更新することに重点を置く。「ブログが軌道に乗ったら、紙媒体や動画を利用して、ブログでは伝えきれないモデルの魅力を発信したい。いろんな人に広がったらうれしい」と村上さんは目標を語る。高齢化が進む現代社会。オシャレを楽しんでいるのはぴちぴちの若者よりも、しわのある高齢者なのかもしれない。
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