関西学生野球連盟春季リーグ戦は立命館大が2季ぶり35度目の優勝を果たした。10勝4敗、全5大学から勝ち点を奪う完全優勝だったが、その道のりは甘くはなかった。
 第6節では近畿大に王手をかけられていた。2連敗を喫すれば、近大の優勝が決まる一戦。1回戦は、リーグ初先発のルーキー伊波に抑えられ敗戦した。後がない2回戦では、主将古川の本塁打で得点し、エース桜井が近大打線を完封。大一番で踏ん張りを見せ、目前での胴上げを阻止した。勝負の3回戦では西川大が1失点で完投勝利すると、打線は2年生の早田、脇屋の起用が当たり6得点。勝ち点を奪取し、形勢逆転に成功した。
 第8節の同志社大戦、勝ち点を奪えば優勝が決まるカード。1回戦で勝利し優勝に王手をかけたものの、2回戦ではサヨナラ負けを喫し、後がなくなってしまった。
 落とせば近大の優勝が決まる3回戦。立命は、八回に一挙11得点のビッグイニングをつくるなど15―1で圧勝し、勝ち点を5に伸ばし優勝を決めた。リーグ最多タイの5勝を挙げた桜井は「勝つ自信しかなかった」と振り返り「リーグ優勝は日本一への通過点。さらに調子を上げていきたい」と力強く語った。
 今季から新たに指揮を執る後藤監督は「早田、脇屋、辰巳など日替わりでヒーローが次々と出てきた。こういうチームは本当に強い」と就任1季目を振り返り感慨にふけった。  
 25安打10打点3本塁打と好成績を収めた主将の古川。同志社戦ではリーグの最多安打記録を25に更新。さらに首位打者、最優秀選手賞、ベストナインと合計3つのタイトルを獲得した。「一つ一つ自分にできることを考え、積み重ねた成果が出た」。主将は開幕から結果を出しチームを支えてきた。

◎悔しさ糧に

 開幕戦では、延長十一回裏2死の場面で、本塁打によるサヨナラ勝利。さらに大一番の第6節近大戦では、二回にソロ本塁打を放ち勝利を引き寄せる先制点をもたらした。
 監督に課された素振りのノルマよりも、200〜300回多くバットを振ってきた。「スイングスピードが上がった。追い込まれてからも三振を恐れずに、自信を持って打席に入れた」と成果を語る。「昨秋の最終戦は自分が打てば優勝できた」。その悔しさをずっと忘れないという気持ちで練習に取り組んだ。昨年の悔しさを糧に努力し成長した主将が、立命を2季ぶりの優勝へと導いた。

◎流れつかめず初戦敗退

 2季ぶりに全国の舞台に帰ってきた立命館大。「初戦の緊張から硬さがあった」と主将の古川は試合を振り返る。
 6月9日、東京ドームで行われた第64回全日本大学野球選手権大会の1回戦、東海大北海道キャンパスと対戦した。リーグで最優秀投手賞を獲得した先発の西川大が七回まで無失点、11奪三振の好投を見せ、試合は息をのむ投手戦に。しかし八回、四球と遊撃手山足の失策から1死1、3塁のピンチを招くと、9番竹中の適時打により先制点を許す。さらに2死1、2塁から2番前田に適時二塁打を打たれ2点目。九回からマウンドに上がった桜井も4番伊藤に真ん中の直球を左スタンドへ運ばれ追加点を与えてしまう。打線も九回、1死1、3塁から4番古川の二ゴロの間に1点を返すにとどまった。立命は1―3で敗戦。2年連続の1回戦突破はかなわなかった。
 「序盤の一、二回で点を取れなかったのが最大の敗因」。後藤監督は肩を落とした。先発の西川大は「カウントを先によくしたいという思いから真っすぐを投げたところ、高めにいってしまった」と失点の場面を振り返った。リーグ戦の好調から一転、好機を生かせずに終わった立命打線。古川は秋に向け、「自分たちで流れを作ることが課題」と悔やんだ。