第44回関西学生サッカー選手権大会は6月6日にキンチョウスタジアムにて決勝戦が行われ、関西学院大が阪南大を5―2で破り連覇を達成。これにより関学の関西選手権優勝は5度目となった。また、この試合の前に行われた3位決定戦では大阪体育大がFW澤上の2ゴールなど4得点で快進撃を続けていた2部の大阪経済大に勝利した。
 7月に韓国・光州で開催されるユニバーシアードの日本代表に両チーム合わせて5人が選出された。まさに関西の大学サッカーを代表する2チームの対戦となった決勝戦。
 まず先手を取ったのは関学だった。阪南大のパスワークの前に押し込まれながらも、FW呉屋が一瞬の隙を見逃さずに抜け出し、そのままPKを獲得。それを自ら落ち着いて決め、先制点を挙げた。
 先制にこそ成功したものの、攻撃のスイッチが入った阪南大の前にわずか5分で逆転を許してしまう苦しい展開となってしまう。
 57分、けがのためベンチスタートとなっていたユニバーシアード代表のMF小林を投入すると、流れが一変した。10分後にはMF森俊のクロスに呉屋が合わせ同点に追いつく。直後には小林のCKからまたも呉屋が合わせ、この日3点目となるゴールを奪い逆転に成功した。さらに呉屋は80分、85分と得点を重ね、終わってみればたった1人で5ゴールを奪った。
 「今日本で最も得点を奪っている男」とサッカー専門紙「EL GOLAZO(エルゴラッソ)」で評された関学のストライカー呉屋。この日は1試合で5ゴール。まさにその評価の通り、圧倒的な活躍だった。それでも自らの活躍について「5得点はでき過ぎだと思う。それよりも、チームとして(相手を)崩せたということの方がうれしい」と、自らを謙遜しながらも満足そうだった。
 前期第9節を終えて、リーグでも首位を走る関学。「今は順調に来ている。だからこそ、これで浮かれないように」。成山監督は好調なチームに対しても冷静だった。しかし夏に行われ、日本一を決める総理大臣杯については「今年狙わずにいつ(日本一を)狙うのか」と強い気持ちを見せた。今年の目標は「関西を制覇しての日本一」。関西制覇はまだ通過点にすぎない。     
 「自分たちの流れの間に追加点を決めていたら、もっと変わっていたかもしれない」と敗れた阪南大の2年生MF脇坂は悔しさを口にした。それでも、「(集中を)切らすことなく、またチームで一つになって修正していく」とすでに前を向いていた。