【6・7月号掲載】酒づくり 学生挑む
学生が酒づくりに取り組む動きが活発だ。産学連携や地域活性化など目的はさまざまで、コンセプトや製品に対するこだわりがうかがえる。オリジナルの酒を開発した大阪大と立命館大の学生の取り組みを取材した。
阪大ウイスキー 阪大をイメージ
阪大の学生らが、サントリースピリッツ株式会社の協力のもと、阪大オリジナルのウイスキーを開発した。11種類の原酒をブレンドし、「新しい世界へ踏み出す」というコンセプトから「光吹ーMIBUKIー」と命名。コンセプトや味、プロモーションなどにこだわり抜き、約1年かけて作り上げた。
「阪大オリジナル」にこだわりを見せる。ブレンドした11種類の原酒は、阪大の11学部の個性をイメージ。それぞれに対応した個性を持つ原酒を、各学部の人数比に合わせてブレンドしたという。また、水で割っても味が落ちないようにするなど、初心者が飲みやすいウイスキーを意識。サントリースピリッツに依頼して試作品を作り、ブレンドする原酒の選定を繰り返した。
産学連携の取り組みとして、昨年5月からオリジナルウイスキーの開発が始まった。開発に携わったのは、文理の枠組みを超えて実践型教育を行う「超域イノベーション博士課程プログラム」履修生の有志メンバー。8月ごろまではコンセプトの立案と市場調査に取り組み、以降はラベルやロゴのデザイン、製品のプロモーションを行った。サントリーの担当者からマーケティングを学びつつ、どのような製品を誰に届けるか、調査やミーティングを重ねたという。
ミーティングを通してメンバーは、ウイスキーを飲んだことがない阪大生をターゲットに、阪大ウイスキーを飲んで少し大人の世界を感じてほしい、新しい挑戦のきっかけにしてほしい、という思いを込めた。
今年3月に完成し、4月に販売を開始。売り上げは想定以上で、イベント用に生産したものを除いて同月中に完売したという。「大学祭で出店するなど、阪大ウイスキーに込めた思いを、多くの阪大生に共有してもらえるような取り組みを行っていく」と岡村昂典さん(阪大・博士前期課程)は意気込む。
立命大地ビール 地域活性化狙う
立命大の学生らは、大阪いばらきキャンパスの開校記念として地ビール「iBR(あいびーる)」を開発した。開発にとどまらず、地ビールを通した地域活性化を目的に活動を続ける。今年度からはビール開発と同時に進行していた「立命館ワインプロジェクト」と合併し「スマイルコミュニティプロジェクト」を開始した。
「つながる」をコンセプトにビール開発のプロジェクトは始まった。「開発したビールは、あくまでもさまざまな人や組織が『つながる』ためのツールに過ぎない」と絹野愛さん(立命大・4年)は話す。大学だけでなく、地域や企業など多くの人々とつながることでコミュニティを形成し、茨木市内から新たな地域活性化の形を発信したいという。
新キャンパスがサッポロビール工場の跡地だったことや、近年茨木市内でビールの祭典「茨木麦音フェスト」が開催されていることなどから、地ビールに着目。昨年6月にプロジェクトを開始し、秋ごろまでは告知活動を行った。11月以降にビールの味や種類を決定。年明けに醸造を始め、3月下旬に完成した。
27日には大阪高速鉄道株式会社と連携し、臨時便のモノレール車内でビールとワインを提供する。今後もビールやワインの製作活動を続け、新商品の開発も検討しているという。
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