vol.241 「かっこいい農業」学生がつくる
兵庫県西宮市のある農地、熱心に農作業をする学生らの姿。甲南大の学生らからなる「学生団体Agrista」だ。「かっこいい農業を若者の手で」の目標を掲げ、農業と真剣に向き合っている。
「作業は朝早いし、夏は暑い。それに、もうからない」と農業のマイナスイメージについて話す金子隆耶さん(甲南大・4年)。それでも「若者が農業に興味を持つように」と、2013年1月に金子さんが中心となってAgristaを結成した。現在は10人ほどで米や野菜、蜂蜜などを生産。種を植えてから収穫や販売まで、全て自分たちの手で行っている。パッケージのデザインや販売方法などから、「かっこいい農業」の実現を目指す。
Agristaとして活動を始めるきっかけとなったのは、金子さんが参加した農業インターンだった。インターンでは、土を起こすことから稲刈り、販売まで、1年を通して米作りを体験。実際に農業の現場を体験し、農家の人々と交流することの重要性を実感したという。同時に、実際の体験こそが今の学生に足りないことだと感じた。
いざ農業を始めてみると、苦労は絶えない。毎日の水やりは欠かせず、無農薬栽培を行っているため雑草も多い。さらに、せっかく生産しても売り切れずに廃棄してしまったこともあるという。しかし苦労が多いからこそ「作ったものが売れていくことや、『ありがとう』、『おいしい』と言ってもらえることに達成感を感じる」。
当初は、漠然と「やらないといけない」と感じて活動を始めた。しかし活動をしていく中で「消費者側のリテラシーの低さを問題に感じるようになった」と金子さんは語る。「例えば、有機栽培と自然栽培がどう違うのかを理解している人はほとんどいない」。少しでも理解を広めようと、食育にも力を入れる。農地の近くに住む親子を招き、農作業体験を行うほか、農業に関するフリーペーパーの作成をしている。
「かっこいい農業を若者の手で」。若者が積極的に農業へ参加する未来を思い描き、彼らは汗を流している。
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