【サッカー】【1月号掲載】呉屋 思いは来季へ
全日本大学サッカー選手権大会(インカレ)は、昨年12月21日に決勝が行われ、関西第3代表の関西学院大は流通経済大(総理大臣杯優勝校)に敗れて準優勝となった。両チームが堅守を見せ、得点が生まれない展開が続く。後半終了間際の87分に流経大が先制。追う関学はDF福森を中心としたパワープレーで猛攻をかけるも、及ばず。大学ナンバーワンFWの呉屋も相手DFの執拗なマークに苦しみ続け、不発に終わった。
流経大は夏の総理大臣杯と併せて2冠を達成。夏冬連覇は2004年の駒澤大以来10年ぶり。大会優秀選手にはベストFWに呉屋大翔、ベストMFに小幡元輝(それぞれ関学)が関西勢から選出された。
試合終了を告げる笛。ピッチに倒れこんだ呉屋は、目を赤く腫らしていた。無力感。この日、シュートを最後まで1本も打てなかった。
得点感覚に優れ、「怪物」の異名を取る。今大会も勝負強さが光る3得点。だが決勝では、試合開始から流経大のDF2人に磁石のように密着された。パスを受ければ途端に取り囲まれ、プレーの合間に給水するときでさえもユニフォームをつかまれた。「あんなに張り付くようにマークされたことはなかった」。
この一戦に対して誰よりも特別な感情があった。流通経済大学付属柏高の出身。流経大には当時のチームメイトが多くいる。だからこそ、「自分がどうにかしてシュートチャンスを作り出したかった」。悔しい思いが、口をついて出てきた。
流経大の中野監督は「大学屈指のFW。呉屋に仕事をさせなかったことが、勝利につながった」。大人しくさせられた怪物は、納得がいくはずがない。日本一も流経大への勝利も、届かなかった。「もう1ランク、2ランク上のFWにならないと」。
来季は4年生。リベンジのチャンスはまだある。「次は必ずこの借りを返す。それがエースである自分の責任」。表彰式後、準優勝のメダルをすぐに首から外した。忘れ物がまだたくさん残っている。喜ぶのは、1年後だ。
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