歯車が少しずつ狂っていった。第4Q、痛恨のインターセプトで一気に逆転された。9点差をつけられ、最後のギャンブルプレー。QB斎藤は右往左往した。終盤の厳しい局面、パスの出しどころがない。後退して避けようとするもQBサックを受け攻守交代。日本一を狙い続けた関学の、挑戦が終わった瞬間だった。
 序盤からスペシャルプレーを多用した。第1Q終了時、斎藤からバックパスを受けたWR木戸からエンドゾーン内で待ち構えていたWR木下へのTDパスで、待望の得点。しかし、キックオフで相手の得点につながるビッグリターンを許した。前半終了間際にもTDで点差を広げられ、鳥内監督は「相手が強いと選手に言い続けたのが裏目に出た」。
 関学は一貫して攻めの姿勢を崩さなかった。10点を追う展開で迎えた後半、「OLのブロックのおかげで走れた」と斎藤。自らボールを持ち、何度もファーストダウンを更新する。主将のRB鷺野(さぎの)もゲインを稼いだ。だが、ゴール1㍎前まで攻めこんだところで、準備したトリックプレーが2連続で失敗。逆転の好機で攻撃権を失い、反撃ムードが一気にしぼんだ。
 チームの空気を変えたのが、DB小椋のインターセプト。敵陣26㍎地点までボールを進めた。ディフェンスの奮起に応え、斎藤から木下への16㍎パスなどで確実にゴールへ迫る。最後はRB橋本誠が中央を走り抜け、3点差まで縮めた。相手にFGを返された後も勢いは衰えない。斎藤がランパス織り交ぜたテンポの良い攻撃で敵陣へ進むと、木戸への23㍎TDパスでついに逆転。富士通の選手らに一瞬、焦りが見えた。
 ライスボウルには4大会連続出場。社会人の富士通相手に2度の逆転劇を繰り広げ、攻撃の獲得距離も相手を157㍎も上回った。しかし、ギャンブルプレーの成功は9回中2回のみ。多くが得点につながらなかった。鳥内監督は「地力があるチームを相手にこちらがミスをしていてはしんどい。スペシャルプレーも全て決めなければ勝てない」。勝負どころのミスが響き、今回も栄冠をつかめなかった。 
 主将・RB鷺野 「ミスで最後までつながらなかったのが悔しい。4年間うまくいかないことの方が多かった。勝って終わりたかった。社会人に勝つには勝負どころのプレーを全て決め、絶対勝つという気持ちが必要」