vol.236 絆つなぐアプリ 共助のきっかけに
神戸情報大学院大がスマートフォン用に、安否確認アプリ「キズナ」を開発した。地震発生時にすぐに安否を確認できるようにし、救出に役立てることが狙いだ。
アプリ内で家族や友人の電話番号と名前を登録する。震度5以上の地震が周辺で起こった場合、自動でアプリが起動し、自身の安否を登録相手に知らせることができる。さらに互いの位置情報も表示されるため、自分が助かった場合は登録相手の救出に向かうことも可能だ。逆に登録相手が自身の救助に向かう可能性も高まる。ボタンを2、3回押すだけですむシンプルな作りで、若者から高齢者まで幅広い世代の人が使いやすい。また、反応がない場合は、がれきの下敷きになっていることなどが想定される。アプリを活用することで互いの安否や位置が把握しやすくなる。
阪神・淡路大震災で助かった人の9割以上は、近所や通りすがりの人に発見されて助け出された共助、自力で助かった自助だった。開発に携わった孫一(ソン・イツ)さんは「災害時に大切なのは自衛隊などに助けられる公助よりも、近所の人同士の助け合いだ」と話す。地震でがれきや家具の下敷きになった時、近くの人に自分の居場所を知らせることが重要だという。共助のきっかけになるようにと、アプリを開発した。
災害時、多くの人が一斉に通信機器を利用するため回線がまひすることが多々ある。しかし同アプリを用いれば、互いの安否を確認できる可能性が高まる。同大の福岡賢二副学長は「万が一のときにアプリのおかげで人の命が助かったのなら、今回のアプリ開発は成功だと思う。作ったからには多くの人に使ってほしい」と話した。
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