国立大 3分類へ
文部科学省は2016年度から、全国に86校ある国立大学を「世界最高水準の教育研究」、「特定の分野で世界的な教育研究」、「地域活性化の中核」の3グループに分類する。グループ内で高い評価を得た大学に運営費交付金を多く配分。各大学は15年度中に3グループの中から1つを選び、グループに準じて6年間の運営を行う。
分類の狙いは、各大学の特色を明確にして同じグループ内での競争を促すこと。3グループに分けることで、従来は大学の規模に応じて一律に割り振られていた運営費交付金の配分方法の見直しも目指す。
国立大は対応に追われることになる。大阪大の理事の一人は「グループ選択は6年間の運営方針を決めることに等しい。15年度中に選ぶのは性急では」と話す。大学の将来像を明確にするためには十分な検討期間が必要だという。また、滋賀大の広報は「正式な決定ではないので何とも言えないが、地域との連携を主軸に研究活性化を目指す大学としては(どのグループを選ぶか)悩ましい。慎重な議論を重ねたい」とした。
進路左右か
今村晴香さん(京都大・1年)は、歴史を学び京都の観光事業に生かすために文学部に入学した。「地域活性化の中核となることで世界的な競争力を持つ可能性もあると思う。3分類は短絡的では」と、分類の仕方を疑問視する。
大阪大学キャリア支援ユニットの担当者は「現在も大企業の採用にはいわゆる高学歴が有利と言われているが、グループ化によって地方の中小企業にも学歴が関わってくるかもしれない」と分析する。例えば、地元企業への就職を狙う場合、地元を離れていた学生よりも「地域活性化の中核」グループに属する地元大学の学生の方が有利になる可能性があるという。学生の進路選択にも影響が出るかもしれない。
狙いに矛盾
文科省国立大学法人支援課は「分類の狙いは(各大学の)役割の固定化ではなく、あくまで機能強化」と回答。一方で「競争力を高めるためには役割を明確にする必要がある」とも認め、矛盾を見せた。さらに、グループ選択に当たって文科省側で審査を実施するかは検討中で、各グループごとの評価方法も未定。また、12年から始まったグローバル人材育成推進事業や昨年9月に採択されたスーパーグローバル大学など、大学運営に関する評価基準も乱立し、先行きは不透明だ。
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