文部科学省は2012年度に大学を中途退学(中退)した学生についての調査を発表した。調査によれば、全国の国公立大、私立大などで1年間に約8万人の学生が中退を選択している。

 およそ40人に1人が中退する時代で、中退を選んだ人たちは「判断は慎重になるべき」との意見を持っている。

 京都の私立大に通っていた元男子学生は、今秋に大学を中退した。退学の手続きは簡単で、退学届けに名前と学籍番号を記入、押印して手続きは終わった。退学届に記入した理由は転学だが、4年次までに卒業単位がそろう見込みがなく、留年の可能性が高かったことが主な理由だ。浪人して大学に入学した男子学生は「大卒として就職するために進学したのに、一浪一留で就活に苦労するなら大学にいる意味がない」と話す。現在は地元に戻り、介護士資格を取得するための専門学校へ入学するため受験勉強に励む。「自分は理由がはっきりしていたが、それでも学生でなくなるのは抵抗があった」と話している。

 2010年の調査では、大学・大学院卒の学生に比べ、中退者は正社員として就職する割合が低くなっている。男性は20%以下、女性は10%以下だ。

大学側の対応 「引き止めない」

 大学は動向を静観している。京都の私立大の学生窓口は、「退学の相談に乗る学生の多くは、ある程度気持ちを決めているので引き留めない」と話す。とりあえず話を聞いて休学などの選択肢を示すが、本人にとって一番いい進路を一緒に考えていくという。
 関西圏の他の大学も「理由によるが、前向きな中退なら気持ちよく送り出す」、「新しい道を選択するなら引き留めない」と、退学希望者の気持ちに寄り添う方針を見せた。

 しかし、担当者は個人的な意見と前置きしながら「中退は少ないほうが良い。中退後の進路も含め、慎重に考えてほしい」とも漏らした。

 分別のある学生として、中退も一つの選択肢だろう。しかし、新しい道へ進むリスクも考慮して、慎重に考える必要がある。