熱気あふれる応援団がいなくとも、はためく多数の応援旗がなくとも、選手にエールを送ることができるのだとその身をもって伝えくれる男性がいる。

自身の母校、大阪経済大学硬式野球部を応援する男性、峯山隆さん(67)。見物人もまばらな、空席の目立つ観客席で応援旗を振り、声を張りあげチームを応援するようになったのにはあるめぐり合わせが関係していた。

1992年当時、東京に住んでおり、大洋ホエールズ(現・横浜DeNAベイスターズ)のファンだった。チームの応援に参加はしていたが、旗を振った経験はなかった。ある日、応援しているチームの投手の弟が大阪学院大の野球部に所属しているという話を耳にし、試合を観戦に向かった。その試合の相手が偶然にも自身の母校である大経大だった。その時の観客席の様子を彼は忘れないという。「ガラガラ、というよりカラッポだった」。

普段観戦するプロ野球とは正反対の寂しい雰囲気に触れ、なんとかしてここを活気づけたいと思い、旗を振って応援をしようと決めた。ただ応援するのではなく、旗を振ろうと思った理由について、「旗が盾の役目を果たしてくれる。人が少なくても、空いた隙間を埋めてくれる」と語る。

旗を振り続けること20年以上。現在使用している旗は3代目だ。チームから感謝され、ユニフォームも支給された。峯山さんは、「応援の主役は学生。後継者が見つかるまでは、体がもつかぎり応援を続けたい」と子供のような笑顔で語った。