vol.231 19世紀のしかけ本再現 万博の光景立体的に
グランフロント大阪(大阪市北区)のナレッジキャピタルにて、梅花女子大と凸版印刷株式会社のコラボレーションによる展示が行われている。「超アナログ!でも3D?のぞきこみシアター」と題し、最新の印刷技術を用いて同大の所蔵する貴重な「しかけ本」を再現。実物を拡大して立体的な空間を作り出した。展示は来年1月31日まで行われる。
凸版印刷が専用のスキャニング台を制作し、19世紀にイギリスで作られたという蛇腹型のしかけ本をスキャニング。さらに、読み込んだデータを実物と同じ比率で拡大して印刷し、巨大なしかけ本として再現したのが今回の展示だ。実物と比べると表面積は約25倍、奥行きは約6倍だという。全部で9枚のパネルが一定の間隔で並べてあり、正面ののぞきこみ穴からのぞくと、立体的に見えるという仕組みになっている。
今回の展示で再現されているしかけ本は、1851年のロンドン万国博覧会の光景が描かれた絵本だ。世界中を探してもなかなか見つからず、どれくらい現存しているのかも不明だという。梅花女子大では、閲覧には許可が必要など貴重な資料として慎重に扱われている。
資料をデジタル化することで、データとして閲覧できるようになった。データならば、これまでよりも閲覧が容易になる。「誰でも見ることができるようになるのでは」と梅花女子大企画部広報グループの木村明日香さんは話している。さらに、実物では確認が難しかった部分も、見ることができるようになった。細部に施された仕組みを新たに発見したという。凸版印刷と梅花女子大がそれぞれの持ち味を生かして実現した今回の企画。貴重な資料をデータとして残すだけでなく、新たな発見につながる可能性を秘めている。(聞き手=根原直希)
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