VOL.229 アート女子 挿絵を描く
本の挿絵制作に取り組んだ長谷川真子さん(京都女子大・1年)は、絵を描くことが大好きな学生だ。動物、少年、風景。透明水彩絵の具であらゆる情景を描き出す。彼女の挿絵作りに迫った。
「自分の絵でイメージが表現できるとうれしくなります」。ずっと絵を描くことが好きだった彼女は、初めて本の挿絵を描くことに挑戦した。タイトルは『たくやと雨がえるのぼうけん』。今年10月に出版された。主人公たくやくんと雨がえるが、いなくなってしまったミツバチやホタル、ヒメシロチョウなどの仲間たちを探しに行く冒険の物語だ。
京女大名誉教授で、本の作家の岡田純也氏に依頼されたことが、挿絵を描くきっかけだった。小学校から大学まで京女大系列の学校で過ごしている長谷川さん。岡田教授とは以前から交流があり、絵付きの年賀状を送る仲だったという。話を受けた際、「本当に自分でいいのか」と驚いたが、やってみようと思い引き受けた。
物語の情景に合わせてイメージを考え、絵で具現化していく。挿絵は透明水彩絵の具で描いた。思うように絵のイメージが浮かばず苦しいこともあったが、何度も文章を読み込み、考えたという。物語の世界を崩さないキャラクター像にすることも大切にした。「リアルすぎず、アニメチックになりすぎないように気を付けた」。特に彼女がこだわったのは雨がえるだ。何度も書き直して、3パターンほどデザインしたが、一番かわいらしいものを選んだ。「いっぱい描いたので、もうしばらくかえるは描きたくないかな」と苦笑い。作業を振り返って「とにかく試行錯誤の日々だった。でももっとこうしよう、いろんなパターンで考えてみようと挑戦できたのでよかった」と満足げに話した。
幼いころから12年間、アトリエ絵画教室に通い、大学でも絵画部に所属している。趣味は京都市動物園(左京区)に行きスケッチを楽しむこと。彼女は思い入れのあるアトリエを「今までの人生の半分を過ごした大切な場所」と言いほほ笑む。「もしまた挿絵を描く機会があれば、もっと頑張りたい」。本は書店での問い合わせ注文や、ウェブサイトで入手することができる。
『たくやと雨がえるのぼうけん』
岡田純也【作】/長谷川真子【絵】
KTC中央出版(2014/10発売)
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