vol.209 学生×商店街 ゾクゾクを創る
商店街に悲鳴が渦巻く?京都三条会商店街(京都市)の100周年事業として、7月10日から15日までお化け屋敷「七三軒目の家」がオープンする。シナリオ制作からお化け役、広報や営業なども学生が手掛けた。「学生×商店街」で若者を商店街に呼び込む。
「お化け屋敷を通して地域活性化を目指す」と話すのは杉浦悠介さん(立命館大・2年)。「京都お化け屋敷大作戦」の発起人だ。高校時代に実施したお化け屋敷より、レベルの高いものを作ろうと考えた。計画を練る段階で、徳島県の東新町商店街、岐阜県の柳ヶ瀬商店街などの空きテナントをお化け屋敷にする企画を知る。しかし、学生が企画、運営をしている事例は聞いたことがない。「学生×商店街でやってみたら面白いのでは?」と思い立ち、企画書を市内の3つの商店街に提出。この提案に三条会商店街が賛同し開催に至った。
メンバーはおよそ20人。SNSで参加者を募集したところ、映像や照明、美術を専門に勉強しているさまざまな大学の学生が杉浦さんの下に集まった。大学での学びをお化け屋敷の制作に生かし、恐怖心を煽る仕掛けや音響などで、来場者を恐怖の淵に落とす。また、商店街ではお化け屋敷にちなんで、「激辛地獄ラーメン」や「おばけもびっくり!お好み焼き」などのコラボ商品を提供する。いつもとは違った商店街を楽しめそうだ。
「商店街の全員の人々から協力を得るのは難しい」と杉浦さんは苦い顔。実は三条会商店街内で開催場所の変更が必要になり、企画が倒れそうになったことも。その際、別の場所を提供してくれたのも商店街の人々だ。活動を優しく見守り、メンバーが商店街に足を運ぶたびに応援や励ましの言葉をくれる。日がたつにつれて三条会商店街の魅力に気が付き、好きになっていったという。企画の当初は面白そうだからと集まり、目的意識の低いメンバーも多かった。だが、商店街の人々の温かさに触れるうちに「地域活性化」という目的に向けて、一つになった。「学生のみんなも商店街にきて、魅力に触れてほしい。お化け屋敷はそのきっかけになれば」と杉浦さんは笑顔で話す。
お化け屋敷のオープンまであと数日。「残りわずかな期間、詰めて詰めて面白い企画にしたい。ぜひ三条会商店街に足を運んでほしい」と意気込んでいる。
(聞き手=五所尾将拓)
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