vol.203 電子書籍と大学生
iPadやKindle、Koboなど、電子書籍を利用できるタブレット端末が続々と登場している。授業でタブレットを使用する教授や、教科書として電子書籍を利用している学生を見かけることも。学生の間で、電子書籍はどれほど普及しているのだろうか。
関西の大学生145人にアンケートを実施したところ、電子書籍を利用したことのある人は23.4%だった。利用経験の無い111人のうちこれから利用したいと答えた人は50人で、半数に満たなかった。
電子書籍の良い点として最も多かったのは「持ち運びに便利」。次いで、読みたい本を自宅ですぐにダウンロードできることがあがった。しかし「ダウンロードするのが面倒」という反対意見も。新作書籍は電子化まで時間がかかり、すぐに読めないという指摘もあった。
大阪大文学部3年のK・Oさんは、大学入学当初からiPadで電子書籍を利用している。購入目的は読書のためだったが、2年次から専修分野の専門書をダウンロードし、持ち歩き始めた。レジュメやノートもPDFで管理するようになり、今では紙を持ち歩くことはほとんどないという。
「受講がスムーズになった」と、Oさんは話す。曜日ごとに教科書やレジュメを入れ替える必要がなく、iPadひとつ持っていれば事足りる。保存した日付も自動で記録され、前回までのデータも見つけやすい。
しかし、2年次の2月にあるトラブルが起こった。使用していたiPadが故障し、保管していたレジュメやノートが全て消えた。友人の助けで乗り切れたものの「油断していた。データの脆さがタブレット端末の最大の弱点」と振り返る。現在は定期的にパソコンやクラウドサービスにバックアップを取っているという。
大学図書館でも導入
大学図書館でも、電子書籍のサービスが始まる。2014年6月から、京セラ丸善システムインテグレーションが「Book Looper」(以下、BL)を電子図書館配信プラットフォームとして提供。電子書籍閲覧サービス「Maruzen eBook Library」に登録されたおよそ1万2000タイトルを、丸善がBLで配信する。関西では大阪大、神戸大、奈良先端科学技術大学院大、立命館大の4大学が本サービスに参加する。BLにはメモやマーカーなど、学習支援機能も搭載される予定だ。一度ダウンロードすればインターネットに接続しなくても利用が可能。PC、iPhone、iPad、Android端末に対応する。
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