日々、練習で汗を流す体育会に息づくユニークな伝統に迫った。

◎神戸大・同志社大体育会 大食いこそ我らが覇道

 フィジカルスポーツの代表例として挙げられるアメリカンフットボールやラグビー。どちらも大きな体を必要とするスポーツだ。そのため、体を大きくするさまざまな工夫が各チームでなされている。

 神戸大アメフト部ではOBや後援会から米の寄付をもらっている。この米は練習後、おにぎりにして選手らに振る舞われる。「本当にありがたい」とキャプテンの久保勉さん(3年)。選手らの食費の節約にも、寄付は助けになっている。

 同志社大ラグビー部は、1日に5回食事を取る。朝昼夜の3食に加え、練習の前後や就寝前などの間食で計5食。食事内容も外部から栄養士を呼んでセミナーを実施し、トレーナーにメニューを報告する徹底ぶり。山上監督も「昨年と比べて体は大きくなっている」と話す。

 「ミールトレーニング」という言葉もある。たかが食事と侮るなかれ。食事も練習の一つだ。

◎関・関サッカー部 練習に特徴

 ユニークな練習からチーム独自の特徴がうかがえる。関西大と関西学院大のサッカー部では、チームが目指すスタイルを反映した練習が見られた。

 関大サッカー部はアップとして、「歩きサッカー」をすることがある。足下に合わせるパスの技術を高める練習で、正確なポジショニングが求められる。

 プレー中に走ることは禁止。そのため、パスの受け手は普段より動き出しを早くしなければパスがつながらず、出し手の側も周りの選手の動きを意識的に観察する必要がある。チーム内の「関係性の深さ」を重視する関大らしい練習だ。

 関学サッカー部のパス練習は他と大きく異なる。それは、「ミスは当たり前」という哲学が共有されているという点だ。

 多くのサッカー部で求められるのはパスの正確さ。しかし、どんなに練習してもミスをゼロにすることはできない。そこで関学は「ミスをした後にどうやって取り返すのか」に重点を置いている。

 ポゼッションを高めて戦うことが多い関学。パスミスを恐れては良さを出せない。一方、パスミスが命取りにもなりうる。ミスのカバーを最重要課題として取り組む練習が、関学の強さの秘訣なのかもしれない。