ある大学教授は「大学に自由が減ってきているのでは」と危惧する。「『大学が学生の面倒を見る』という方針が保護者に支持され、全国的に広がってきたのでは」と話す。  30年以上同志社大に勤務している工藤和男教授は「昔と比べ学生が精神的に幼くなっていると感じる」と言う。学生が変化したことにより、大学の教員も「世話しなければ」「管理しなければ」という雰囲気になってしまい、管理化が進んでしまったと指摘する。工藤教授は「18歳ならもう大人。大人としてきちんと振る舞い、自分自身で管理すべきである」と主張し、学生の管理化が進む大学に疑問を投げかけた。  1960年代に一橋大に通っていた男性は、「今の大学には明らかに自由はない」と話す。「僕らの頃はテスト一発勝負。授業に一切出ずに課外活動に精を出していた」と振り返った。  現役の大学生は現在の生活を自由と思っているのか。また、彼らは学生生活に満足しているのか。我々UNN関西学生報道連盟では、関西の大学に通う学生を対象にアンケートを実施して、学生が大学に対して抱く「自由度」と「満足度」を調査した。  大学生活について、「とても自由」「ある程度自由」と答えた人は全体の72%。「校則がなく、誰の干渉も受けない」「自分次第で時間を自由に使える」などというような、高校までとの違いを挙げた人が多かった。その中でも「自由に授業を選べるから」「時間割が自由」という意見や、「単位が比較的簡単に取れるから自由」「出席をとられるのは嫌だが、そこまで苦痛ではない」との意見など、カリキュラムの自由度が増したことに起因するとみられる回答が見られた。  大学生活に「満足している」と答えた人は全体の76%に上った。また半数近くの学生が「大学は学生の意見を取り入れている」と肯定的に捉えていた。「束縛されているのではないか」という大学教授らの意見とは裏腹に、学生たちはある程度「自由」で満足したキャンパスライフを送っているようだ。 用語解説:大学設置基準大綱化  1991年に行われた、文部科学省による大学設置基準の一部改正。そこで授業科目の区分やこれに応じた卒業要件単位数の定めなどの取り扱いを柔軟にし、これらを各大学の自主的な取組にゆだねるようになったこと。  このことをきっかけに、多くの大学において、特色ある授業科目の導入、選択幅の拡大などのカリキュラム改革のほか、学生による授業評価などを通じた指導方法の改善などに取り組む大学が増加した。  (文科省ホームページより)