「延滞金年利10%? ブラックリスト? 全然知らなかった」。兵庫県の公立高3年の男子学生は、有利子のJASSO第2種奨学金を申請中だ。返済の際、延滞すると日数分年利10%の延滞金が発生、3カ月続くと個人信用情報機関に登録される。クラスのおよそ半数が予約採用を行っているが、高校では資料配布と簡単な説明会があっただけ。岐阜県の公立高3年の男子学生は「学校では申請手続きについては丁寧に説明してくれたが、返済リスクについては何もなかった」と話す。別の私立高生からは「そもそも説明会自体が無い」「『借りてくれなければ困る』と親に言われるがまま申請した」という声もあがった。いずれの高校生も「奨学金=借金」というイメージを持っていなかった。「進学するならとりあえず借りるという感覚。リスクは意識していなかった」と最初の男子学生は不安げに答える。  奨学金アドバイザーの久米忠史さんは、予約採用時のリスク説明不足が、延滞者続出といった返済問題につながると分析する。JASSOは制度に関する説明を高校に丸投げ。現場は生徒にミスなく申請させることばかりを注視し、教員の知識不足も重なって十分な説明ができていない。久米さんは「生徒や保護者は複雑な制度を理解しにくく『何となく』借りてしまう。学生が進学後就職に失敗すれば借金地獄になる」とリスク説明の必要性を説く。  現場は複雑だ。大阪府の公立普通高の女性教諭は「高卒の求人は最悪。進学してもらわないと行く先はフリーター」と現状を語る。同校は貧困世帯の生徒が多く進学には奨学金が必須。リスクを強調せねばと感じつつも、「生徒が進路への意欲を無くしたら元も子もない」。教員間の知識共有も「大阪府は近年教員の異動が激しく、詳しい人がいてもノウハウが生かされにくい」と困難を極めている。現場への地道な働きかけを続ける人もいる。兵庫県の元高校教員の新原三恵子さんは、各高校を回って奨学金制度の改善を求める署名活動を呼び掛けている。「きちんと生徒に伝えてこなかった私たちの責任。署名をきっかけに奨学金について勉強してほしい」。  大卒の2割が非正規雇用やフリーターという現状のなか、今年もたくさんの若者が借金を背負って大学に入学している。「これから返済で苦しむ教え子の話がたくさん舞い込んでくるんじゃないか」大阪府の女性教諭は最後に不安げに答えた。 <関連記事はこちら> 奨学金の返還意識 希薄さ浮き彫りに:https://www.unn-news.com/special/4195 【奨学金問題】返済義務 若者苦しめる:https://www.unn-news.com/news/201310034780