【10月号掲載】ネット炎上相次ぐ
昨年3月ごろから今年3月にかけて、神戸大や同志社大などの学生数人がユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ・大阪市此花区)でアトラクションの運行妨害などを行って、短文投稿サイトTwitter(以下、ツイッター)に投稿した。投稿は第三者によるリツイートなどにより「炎上」。これはニュースにも取り上げられ、神戸大は謝罪会見を開くに至った。神戸大の当該学生は6月に停学3カ月の処分を受けたほか、7月には大阪府警により書類送検された。 その後も全国で似たような「炎上」が続いている。関西では、近畿大生がアルバイト先の居酒屋でキャベツを顔に覆いかぶせながら喫煙する様子を撮影した写真を投稿したり、男子学生のグループが夜間に電話ボックス内で花火をしている画像がツイッターに投稿されたりし、物議を醸した。 学生、識者は なぜ「炎上」は続くのか。UNN関西学生報道連盟では、SNSを使っている関西の学生に自由記述式のアンケートを実施。また、インターネット上などでソーシャルメディアを用いたマーケティングに取り組む企業「アジャイルメディア・ネットワーク」代表取締役の徳力基彦氏と、ツイッタークライアント「モバツイ」開発者の藤川真一氏に話を聞いた。 アンケートで「相次ぐネット炎上をどう思うか」と聞いたところ、「バカだと思う」「非常識で痛々しい」「行為をネットで自慢する行動が理解できない」など、投稿者に対する否定的な意見が並んだ一方で、「気持ちが全く分からないわけではない」と投稿者を一部擁護する意見も出た。 徳力・藤川両氏はこの件について、「昔から『若気の至り』で行われていた現象が、ソーシャルメディアによって可視化されただけ」とコメント。藤川氏は「情報であふれるネット環境の中で『仲間に注目されたい』という承認欲求を満たすために、過激な言動をする人が出ているのでは」と加えた。また、徳力氏は「ネットにプライバシーを掲載することに抵抗がない」と、若者の危機意識の薄さも指摘した。 投稿を拡散し「炎上」に加担した学生もアンケートに答えた。理由は「面白半分で」など軽いものから、「社会的制裁が投稿者に加わればいいと思って」といったものまであった。拡散回数もバラバラで、10回以上した人から、「1、2回やったが、途中でアホらしくなりやめた」人までいた。 投稿者、拡散者だけでなく、報道するメディアにも問題があると両氏は言う。ニュースになったことにより、模倣する人や拡散、糾弾する人が増え「負のスパイラルになっている」と徳力氏。藤川氏は「ニュースにならなかったら、ネットをにぎわすだけに留まっていただろう」と述べた。
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