関西からは、「大童貞の大冒険」の二宮健さん(大阪芸術大)が長編観客賞を獲得。20歳でキスすらしたことのない大童貞太郎がたどる、残虐でサイゲデリックな生命の誕生の奇跡と宿命の物語だ。上映時間はコンペティション内でもっとも長く、58分におよぶ。鑑賞した一般の女性は、「学生らしい発想が素敵だった。たくさん笑わせてもらった」と笑顔で語った。

 長編部門のグランプリに選ばれたのは、海外で働くという漠然な夢を持ちながらクリップ工場で働く男、スガを描いた「海外志向」の太田達成さん(日本大)。太田さんは、制作にあたって「現実味のある光景に嘘を散りばめることで、フィクション的な要素を織り込みたかった」と、独自のスタイルを語った。また「どの賞を受け取るかわからなかったが、まさかグランプリとは思わなかった」と、驚きを口にした。

 短編部門のグランプリに選ばれたのは、イスラエルから参加した「Nest」のGan De Langeさん。「海外志向」と「Nest」の両作品を鑑賞した一般の男性は「30分にも満たないのに、2つとも心に焼きつく濃厚な映画だった。学生の新鮮な視点を感じることができた」と感動をのぞかせた。