京都学生演劇祭は、学生演劇を盛り上げることで京都の全ての演劇も活性化しようという、現演劇祭プロデューサーである沢大洋さんの企画から生まれた。2011年2月に第1回が開催されて以降、劇団数、観客の面で確実に規模を拡大しており、昨年の第2回では第1回の2倍以上である3900人の観客を動員した。

 第3回のテーマは「人、演劇、京都をつなぐ演劇祭」というもの。第2回までにはなかった、公演期間中の演者と観客の交流企画や感想コーナーの設置など、出演者と観客との距離を近づけるような諸企画を予定しているという。また、従来の会場だったART COMPLEX1928(京都市中京区)が、演劇祭中は別企画のロングラン公演中で使用不可。今年は廃校になった小学校の講堂と音楽室を使用しての開催が決まっている。

 劇場の設備がない会場を想定しての企画進行。第3回演劇祭会長の石井仁さん(京都大・3年)は「会場のコストは下がるが、照明、舞台配置はやはり設置のしかたに難しいものがある」と話す。さらに今年度の実行委員12人は、全員が今年6月から演劇祭の運営に関わっている新規のメンバーであり、その多くが1、2年生。前年度のメンバーからの引き継ぎがあるものの、手探りでの運営となることも多い。

 しかし実行委員会は、逆にその新鮮さを活用し「新たな演劇祭のスタイル」を積極的に模索している。実行委員会の組織形態を一部変更したり、元立誠小学校の敷地の広さを利用した追加企画を設けるなど、昨年以上に委員会は柔軟だ。石井さんは「演劇に触れてこなかった人の娯楽に『演劇』という選択肢はなかなか入らないもの。それを演劇祭が少しでも変え、多くの人が演劇に興味を持っていただけたら」と意気込んだ。