【本紙掲載】「海外志向」の学生ら 事件前後の心境変化は
この夏、アメリカへインターンシップに行ったAさん(私立大・3年)は、インターンシップ中に起きたこの事件をホームページで知った。Aさんは同じ境遇の学生の死を知り恐怖を抱いたというが、両親の方が事件のことを気にしていたそうだ。事件の前後で海外インターンシップや留学への気持ちに変化はあったかという質問には、「特に変化はない」との答え。しかし、「海外は日本ほど安全でない」という意識は強くなったそうだ。
来年の留学が決まっている学生Bさん(私立大・2年)もAさん同様、「海外への気持ちは変わらない」という。またBさんは「なぜ夜中に空港を出てしまったのか」と、被害者の行動に疑問を挟む。自身が海外の空港に夜中に到着した際、インターネットでいろいろな情報を集めた末、朝まで空港で待った経験を踏まえてそう感じたという。
この事件では、女子学生をあっせんしたNPO「アイセック・ジャパン」の対応に問題があるのではないかとの声もある。そのことについてAさんは「アイセックの対応に不信感をおぼえた。自分はこの団体と関わりたくない」と思いをあらわにした。またBさんも同じく、「もっと女子学生に忠告などできなかったのか」と強調。海外経験のある学生とこれから行こうとしている学生、ともにアイセックに対する不満はあるようだ。複数のアイセックの大学支部は、事件に関連することについて「一切コメントできない」とした。 留学生との交流サークルに所属し、今夏オーストラリアと東南アジアを訪れた学生Cさん(国立大・2年)も、海外に対する気持ちに事件前後で変化はなかったようだ。Cさんは「最近は安く行けるので、国内旅行の感覚で海外に出る人もいる」とコメント。「それなりのリスクが伴うと覚悟し、事前に十分に情報収集しておくべき」と話した。
国際協力を専門とする神戸大のロニー・アレキサンダー教授は、事件に対して「自己責任論は好きでないが、自分を守る技術を身につけ注意することが必要では」と指摘する。最近の海外志向の学生は「相手の国はもちろん、日本のことも知らなさすぎる人が多い。
時間をかなりかける割に準備ができていないような印象が強い」という。 海外インターンシップや海外留学を支援する団体を信頼しすぎず、事前に多くの情報を集めていくことが、事件に巻き込まれるのを防ぐ最も重要なことなのかもしれない。
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