この催しは今年10月に開催される、第10回京都学生祭典(以下、本祭)へ向けてのPRイベント。第8回までは実行委員会が主催となり開催することが多かったが、今回は京大理学研究科社会交流室が単独開催を予定していた企画「ウォークインサイエンス」に協力する形をとった。京大理学部、大学院理学研究科からは学部1年生から院生までが参加し、それぞれ小さな子供でも分かる簡単な科学実験キットを用意した。


 開始時間の午前10時より前から、早速親子連れが会場に集まり始める。「あれ何なん」「かっこいいな」の声とともに、親の手を引っ張ってコーナーに訪れる男の子の姿も見られるなど、会場は瞬く間に混雑した。

 積み木を用いた計算装置のコーナーを担当した草場哲さん(京大・3年)は「前日に思いついて即興で作った」という、光の三原色の関係を見る装置を、予定外でコーナーに併設。スイッチを自ら押して豆電球のオンとオフを操作できるだけに、小さな子供から計算装置にも負けない人気を得た。草場さんは「自分は理系科目が大好きな人間。科学を専門にしていない一般の方から驚きの声を聴けると嬉しいです」と、来客の反応に満足そうだった。

 また同会場には、本祭の会場に設置する200の灯篭にメッセージを書けるコーナーが設けられた。実験を楽しんだ子供たちの手から「ありがとう」「頑張って」など、温かなメッセージが紡ぎだされた。実行委員会の企画運営部である小山未由理さん(大谷大・2年)は「今日までですでにメッセージが70枚くらい集まっていて、この調子なら何とかなりそう。去年は実行委員になった時期が遅く受動的だったが、今年はやりがいと達成感を感じたい」と意気込みを話した。

 本祭に向け、創作踊りである「京炎そでふれ!」の出前教室や、市内の清掃活動である「クリーンアップ」など、例年よりも継続活動に力を入れてきた第10回の実行委員会。いよいよ本祭前に残すは9月17日に京都駅ビル、龍谷大アバンティ響都ホール(京都市南区)で開催される「恋しよ、京都—京都学生祭典—」のみとなった。実行委員長の向島翔也さん(龍谷大・3年)は「1年を通して他大学の人と何かをし続けたことが、徐々に成果として見えてきている」とここまでを振り返る。活動中は250人以上の実行委員との情報共有に苦労したという。また、本祭に近づくにつれ、当然各部署が忙しくなってきていると話す。「10年という節目の祭り。ここまでを継承しつつも、10回目の新しい姿を披露したい」と向島さんは意気込んだ。