◎再稼働の是非 賛成と反対真っ二つ

 「大飯原発の再稼働についてどう思うか」の質問では、「賛成できる」が40.1%で、43.9%だった「賛成できない」とはっきりと分かれた。また、「原発事故以降、原子力発電の必要性についてどう思うか」「原子力発電に抵抗があるか」との比較では、再稼働を「賛成できる」とした人ほど必要性を感じ、抵抗を感じない傾向にあった。また、自由記述欄でコメントをした人で、再稼働に賛成したのは全体の56.9%に上ったが、しなかった人では33.5%に留まり、問題への意識が強い人ほど再稼働に積極的だともとらえられた。

◎人文科学専攻 事故で心境に変化
 
社会科学、自然科学を専攻している人で、再稼働に賛成の人はそれぞれ63.0%と48.6%だった。しかし、人文科学では29.5%に留まり、再稼働に積極的でない事が示された。また、事故以前に原発に抵抗を感じていなかった学生は社会科学が69.1%、人文科学が57.1%、自然科学が54.3%と、社会科学が他を大きく上回っていた。しかし、事故以後は社会科学が39.5%、人文科学が11.6%、自然科学が25.7%と、人文科学の下げ幅が極端に目立った。また、人文科学を専攻していた学生で、事故以前に原発の必要性を感じていなかった人は18.7%で、社会科学(12.3%)と自然科学(20.0%)と大差なかった。しかし、事故後は53.6%で、社会科学(22.2%)と自然科学(34%)を大きく上回り、人文科学の学生が事故により心境の変化が生じたことが明白となった。
 
◎自然科学専攻 「世論は過敏」

 放射能汚染に対する世論の風潮を尋ねた設問で、62.3%が「敏感だ」と答えた。その中でも、自然科学の学生が71.4%と、社会科学の56.8%、人文科学の58.9%を大きく上回った。

調査結果一覧

対象:関西の大学に在籍する学生258 人。調査方法: 被験者を無作為に抽出。

※小数点第二位四捨五入

1. 省略

2. 専攻を教えてください
1. 社会科学系統(31.5%)
2. 人文科学系統(43.6%)
3. 自然科学系統(13.6%)

4. その他(11.3%)

3. 野田首相が、大飯原発を再稼働させる意向を表明したのは知っ

ていますか?
1. はい(84.0%).
2.いいえ(16.4%)
4. 大飯原発の再稼働についてどう思いますか
1. 非常に賛成できる(7.4%)
2. ある程度賛成できる(32.7%)
3. あまり賛成できない(34.6%)
4. 全く賛成できない(9.3%)
5. どちらとも言えない(12.1%)
6. わからない(3.9%)

5. 福島第一原発の事故以前、原発の必要性についてどう思っていましたか?

1. 絶対に必要(15.6%)
2. ある程度必要(55.3%)
3. あまり必要(14.0%)
4. 絶対に必要(3.5%)
5. どちらとも言えない(7.4%)
6. わからない(4.3%)
6. 事故以前、原発の存在に抵抗がありましたか?
1. 全く抵抗がなかった(24.1%)
2. あまり抵抗がなかった(34.6%)
3. 少し抵抗があった(28.0%)
4. かなり抵抗があった(6.2%)
5. どちらとも言えない(4.3%)
6. わからない(2.7%)

7. 事故以降、原発の必要性についてどう思いますか?
1. 絶対に必要(2.4%)
2. ある程度必要(31.4%)
3. あまり必要でない(29.8%)
4. 絶対に必要(15.7%)
5. どちらとも言えない(18.2%)
6. わからない(2.5%)

8. 事故以降、原発の存在について抵抗がありますか?
1. 全く抵抗がない(8.2%)
2. あまり抵抗がない(16.0%)
3. 少し抵抗がある(44.0%)
4. かなり抵抗がある(27.6%)
5. どちらとも言えない(3.5%)
6. わからない(0.8%)

9. 放射能汚染に対する世論の風潮についてどう思いますか
1. かなり敏感と思う(30.0%)
2. 少し敏感だと思う(32.3%)
3. 適度だと思う(22.6%)
4. あまり敏感でないと思う(13.2%)
5. 全く敏感でないと思う(2.0%)

10. あなたの出身地に原発はありますか?
1. はい(14.4%)

2. いいえ(76.3%)
3. わからない(9.0%)

自由記述欄(一部抜粋)

・「国民の安寧な生活のためなら仕方ない。工場などを経営する人たちには必要だし、計画停電は在宅医療を行う人には死活問題」(神戸大・医学部3年)
・「石油輸入が不安定的なので、原発廃止は性急。色々な方向にアンテナを伸ばしつつ、冷静な議論をしたい」(京都大・総合人間学部4年)
・「問題が山積したまま、再稼働に踏み切った政府に不信感を覚える」(神戸女学院大・人間科学部3年)
・「100% の安全が保証されるまで原発は動かすべきではないと思う」(関西学院大・法学部3年)