【本紙掲載】就活失敗で自殺増
白書によると、昨年の「学生・生徒等」の自殺は1029人と、調査を開始して以来初めて1000人を越えた。今春卒業した大学生の就職率は4月1日現在で93.6%と過去最低だった昨年の91.0%から改善したが、雇用環境は依然厳しい。
Aさんの就職活動は7月まで及んだ。精神的に追いつめられ面接中に涙目になることもあったという。「リーマンショックを境に、苦しむ学生が増えている」と、神戸大発達科学部キャリアサポートセンターの宮村聡子さんは話す。
各大学のキャリア支援部門では、訪れた学生が深刻な心の問題を抱えている場合、心理相談のできる学内の機関や専門家を紹介することが多い。
問題は、キャリアセンターなどに相談しに来る元気もない学生だ。「(相談のために)ドアを開けられない学生もいる」と同志社大の担当者。そういった学生は発見も支援も難しい。神戸大キャリアセンターの山_桂さんは、就活において追いつめられる要因は「誰にも相談できないこと」だと言う。
大学側からのアプローチも試みられている。神戸大では全学年を対象に情報提供の媒体紙を送付している。また関学キャリアセンターでは、4年生全員にハガキを送ったりしてニーズを吸い上げようとしている。
しかし、大学がカバーできる範囲はどうしても限界があり、やはり最後は本人による面が大きい。ある大学のキャリアセンターでは、教授に勧められてドアの前まで来たが、結局入ることができなかった学生もいたという。
「最低1週間に1回は誰かに就活の話をしてほしい」と山_さんは就活に臨む学生に助言する。これにより、心理面の危機を回避できるうえに、考えが整理されて効率よく就活を進められるという。
宮村さんは「就活は1人でしてはいけない」と忠告している。就活は1人では戦えない。
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