ハリガネムシの仲間は主に森林の昆虫に寄生するが、宿主である昆虫類の行動を操作して河川に飛び込ませ、結果的に渓流魚のえさを増やしている。今まではこれらの寄生虫によって河川に飛び込んだ昆虫が、渓流魚の年間のえさの6割に上ることが明らかになっていた。  今回の研究では、ハリガネムシなどの存在が、河川に生息する藻類の数や有機物の分解速度などの要素まで波及することが新たに発見された。今まで生態系への影響を見過ごされていた寄生虫が、実は森と川の生態系をつないでいたという事実を初めて明らかにした。