≪経緯≫

大学広報室によると、16日にマクドナルド甲東園駅前店の店長から「関学生のマナーが悪い。試験勉強のための長居して迷惑になっている」「飲食物を持ち込み店内で飲食している」という苦情があったという。このとき店長は「大学職員を店に派遣して関学生を指導してほしい」との要望を出していた。しかし学生部は客が関学生という判別がつかず別のトラブルが発生する可能性があるとして申し入れを断った。
 
そのため店長は「それでは関学生を出入り禁止にするので大学側も関学生に対して通知をしてほしい」と要望。これを受けて大学は「店が決めたことなら従うしかない」と教学Webに「マクドナルド甲東園駅前店関学生出入り禁止について」という項目を掲載し「同店では定期考査(1/16日〜28日)の間、関学生の出入りを禁止するとのことですので、同店の指示に従ってください」と通知を出した。
 
だが翌日、大学はこの通知を取り下げ。代わりに特定の店舗名は出さず「学内外の飲食店での長時間にわたる座席占有について」と変更した。この後多くのマスコミが駆け付け報道を始めた。マスコミの取材に対し店長は「出入り禁止とは言っていない」と話しているといい、大学側と話が食い違っている。この点にマスコミは食いつき、どちらから言ったのかということが言われ始めたが、大学は「どちらから言ったのかということは問わない」としこの話は治まった。
 
日本マクドナルドPR部は「客に対して出入り禁止などはしない。引き続きご利用していただきたい」とコメント、大学側は「マナー向上に努め、マクドナルドとはこれからも協力していく」としており、よき了解の上で今後の方向性について話し合っていくこととなったという。
 
≪ここが疑問≫
今回の騒動では数点の疑問が浮かび上がる。大学広報室に聞いた。
 
・なぜ大学側は店名を出したのか
広報室は「出入り禁止という通達であり、店名を出さないと文章にならない」と理由を説明。あくまで出入り禁止の通達であった以上、店名を出したのは正しい選択だったと言えるだろう。さらに「一般的な表現では学生の耳に響かない」ということも理由にしている。
 
・なぜ大学側は通知を出すことを断らなかったのか
「(特定の店名を出すことは)難しい判断だったが、相手からの要望であり断れない」としている。また文部科学省の大学設置基準には学生の補導更生が義務付けられており、こんかいの通知はその一環であったとしている。
 
・なぜ翌日に取り下げたのか
通知を掲載した学生部は翌17日の定例会議「学生部連絡会」で「同様のマナー違反はマクドナルドだけで起きていることではないため、一般的な表現に変えたほうが効果的」と判断。そのため内容を更新し店名の記載をなくした。「16日の文章を誤りだと判断し、取り下げたわけではない」と広報室は説明している。
 
・大学側とマクドナルド側でなぜ話が食い違うのか
「どちらから言ったのかは問題ではない」と大学側が言うようにここは争点とは言えないのではないか。しかし、話が大きくなったために、どちらかが引き下がれなくなったということも言える。
 
≪なぜここまで知れ渡ったのか≫
学生が随時見ているとはあまり言えない教学Webに掲載された内容が、なぜ外部の人まで広く知れ渡ったのか。その一つにツイッターの存在があった。大学広報室によるとある学生がスマートフォン専用アプリ KGPortal に掲載された「マクドナルド出入り禁止」のページの画像データをツイッターに貼ったことからすぐに関学生全体に広がったという。さらにこれをネットメディアが取り上げ、その後マスコミ10社前後が報道した。こうして関西の多くの人が知ることになった。
 
マスコミが大きく報道した理由としては「巨大外食チェーン」のマクドナルドと、「有名私立大学」である関学の間のやり取りであるということがあげられる。これが小さな飲食店とあまり知られていない大学とのやり取りだったら報道はされなかっただろう。有名なもの同士のやり取りであるということで世間の注目も集るのでマスコミが多く押し寄せたと言える。またある通信社の報道で「広報室は『対応した学生部職員の独断で、公式な方針ではない』と説明している」とあるが、大学広報室はこれを否定。独断などではなく公式な発表としており、通信社に事実誤認であると異議申し立てを行った。これを受けて通信社はミスであったと認めたという。
 
≪問題の本質はどこに≫
今回の「騒動」ではなぜ学生がマクドナルドで勉強していたのかという疑問も残る。大学には大学図書館や、試験期間中の特設自習室など勉強スペースが多くある。これらが席が足りなかったり、あまり認知されていなかったりしているという問題もあるのではないか。さらにマクドナルドのように飲食しながら人と相談しながら勉強できる環境の整備も必要なのかもしれない。
 
また、マクドナルドも売り上げのある程度の割合を関学生が占めていると考えられる。それなのに、試験期間中だけ迷惑だから出入りを禁止するというのもやや理解しがたい行動だ。勉強のために来店する学生も受け入れつつ、混雑時には席の譲り合いを求めるなどの姿勢が必要なのではないか。

 

だが今回の問題の発生した原因には関学生のマナーの悪さがあることは隠すことのできない事実だ。店長が大学に対し学生全員の出入り禁止を求めたということは、マナー違反が幾度となく繰り返されていたということだろう。また「関学生はマナーが悪い」と報道されることは大学のブランドにとって大きな傷となる。大学のイメージが悪くなって得する人は誰もおらず、マナーに関しては一人ひとりが意識的に取り組んでいくことが求められる。教学Webに掲載された「マクドナルド甲東園駅前店関学生出入り禁止について」でもっとも伝えたかったこと。それは最後に記載された以下の文章だったのではないだろうか。
 
「同店で関学生がこのような迷惑行為を行い、同店ばかりか他のお客様に迷惑になっていることは、本学にとって、非常に不名誉なことであり、遺憾であります。関学生の皆さんにおいて、今後このような迷惑行為をしないように十分に注意してください」

※関係者からの要望により、記事を一部変更しました。(2月4日)