昨年の事件では、カンニングに携帯電話が使用されたため、携帯電話などの電子機器の持ち込みについて言及する大学が多かった。阪大、神戸大、同志社、立命館の4大学は「いったん電子機器類を机に出し、電源を切ったことを確認してからカバンに入れる」というように、厳しい対策をとっている。「机の上にいったん置くというプロセスを入れることによって、口頭で説明するより注意を徹底できる(阪大)」利点があるそうだ。

途中退席した受験生に、退室時間と入室時間の記録をさせる措置も、私立大学を中心に広がっている。立命館と関学が以前からやっていたのに続き、事件を受けて昨年の後期試験から関大も新たに始めるなど、普及が進んでいる。

また、昨年被害を受けた京大では、受験会場の見通しの改善をするほか、警備の強化、一部構内規制を行うなど、他の大学とは異なる厳しい対策を取った。

一方、カンニングに対する監視を強めるため、試験官の増員に踏み切る予定と答えた大学は、同志社のみであった。職員の数に限度があること、人件費がかさむことなどが理由で、他大学ではなかなか増員に踏み切ることができないように思われる。しかし「試験官を増やしすぎても受験生にプレッシャーを与えることになるため注意が必要(同志社)」だそうだ。京大と同志社を除く大学では、試験官の巡回の強化と、注意を昨年より詳しくして周知を図ることでカバーする予定だ。