最終日はあいにくの雨。それでも、学生らは声を張り上げて呼びかけを行った。「希望の光をともしませんか」。メンバーの和田祥子さん(神戸芸工大・3年)は「来てくれるだけでもうれしいです」と笑顔を見せた。

 「記憶のパフォーマンス」と名付けられたこの催し。中心となって企画を進めたのは、神戸芸工大のかわいひろゆきゼミ(ビジュアルデザイン学科)の学生らだ。一昨年からポスターやグッズの製作でルミナリエとかかわっていたが、震災色が薄まり観光の場所となっていることにゼミ生らは疑問を感じていたという。「震災で学んだことを伝えなければ、(ルミナリエが)何の意味もないものになってしまう。命の尊さや絆の大切さを感じられる場に戻さないと、と思った」(和田さん)。

 今年5月にはかわい教授の指導のもと、「ヒトキズナぷろじぇくと」を立ち上げ学内で有志を募集。ゼミに所属していない1、2年生やOBなど、およそ20人が集まった。NPO法人「1.17希望の灯り」(HANDS)と連携し、大学に遺族らを招いてセミナーを複数回行ったり、震災で犠牲となった加藤はるかさんが生前育て、震災後に花開いた「はるかのひまわり」の種を大学内で育てたりと、直接被災していない自分たち自身が震災の記憶を伝えられるよう、準備を進めた。

 ルミナリエ期間中は、「記憶のモニュメント」のほかにも4つのパフォーマンスを実施した。「記憶の響きコンサート」では、プロジェクトに共感した神戸市看護大、大阪音楽大、神戸海星女学院大の学生らが日替わりで出演。クリスマスソングや「幸せ運べるように」を合唱・演奏し、11、12日を中心に大勢の観客をひきつけた。

 コンサートと同じテントでは、「1.17を語る魂の言葉」も行われた。毎日1人ずつ、遺族などの被災者が震災体験を語る場。学生らと被災者のパイプ役を担ったHANDS理事の白木利周さんは「学生たちが自主的にやってているのを嬉しく思う。私たちにとっても、震災を伝える後継者を育てるスタートになる」と満足げだった。

 友人3人で訪れ、モニュメントにLEDを埋め込んだ江口萌さん(関学・2年)は「同じ学生なのに、震災に関心を持っていて偉いと思う。頑張ってほしい」と話した。