大商大 「最後に監督を胴上げしたかった」
最後のポイントが決まると主将のサイド越猪はやりきれない表情を浮かべた。選手、監督含め特別な思いで臨んだ最後の大会を笑顔で締めくくることはできなかった。
「中学校から10年間(大学まで)みてきた選手らだった。紙切れ一枚(賞状)だが最後に取らせてあげたかった」と話す中嶋監督。スタメンの越猪、サイド蔵本、センター天本らは九州出身。中嶋監督も大商大の監督に就任する以前は九州の中学校で教員をしており、練習試合などで顔が知れた仲だった。たびたび進路の相談などにも乗っていて、3人が大商大に進学したのも中嶋監督の勧めがあった。「大商大の監督に決まったのは勧めた後だった。最初の練習では(選手らが)なんでおるんって感じでした」と中嶋監督。
また、大商大のアタッカー陣を支えてきたセッター須藤は一度は筑波大に進学していた。しかし、一時はバレー人生をあきらめようとしていたという。「素質があると知っている選手がつぶれていくのは嫌だった」(中嶋監督)。須藤を全国大会や練習試合などで知っていた中嶋監督は大商大へ誘った。「小さい時から周りに支えられてきた。(大商大に行く決意をしたのは)自分一人でここまでこれた訳ではないと思ったから」と振り返る須藤。
そうして集まった選手らが迎えた最後の大会。大商大は西日本王者の愛知大などを倒し、ベスト4まで快進撃を続けてきた。「最後に監督を胴上げしたかった」(越猪)。チーム全員がその思いを胸に最後の試合に臨んだ。
試合は一進一退の攻防を極めた。第3セット、23−24とセットポイントを握られた所で、大商大はセンター河戸のブロックが決まり同点に追いつく。34−32で接戦を制しセットカウント2−1とリードを奪った。「3セット目取れたことで4セット目も取れると思った」と蔵本。前日の準決勝、順天堂大戦では第3セットを27−29と落とし連取されていた。
しかし、第4セットはマッチポイントを握るものの、大事な場面でサービスエースを決められ26−28でセットを落とした。「(サービスエースは)正直やられました。一瞬の判断ミス」と悔やむリベロ瀬川。最終セットは7連続失点で序盤にリードを許し10−15で奪われた。
試合後、須藤は「バレーを続けてきてよかった。良い仲間とバレーできたこと、受け入れてくれたこと、このメンバーで戦ってこれたこと全てに感謝したい」とやりきった表情で話した。
チームを1年間引っ張ってきた越猪は「(主将として)重荷はなかった。本当にメンバーに恵まれていた」と目を赤らめた。全日本インカレ6日間、戦い抜いてきた4年生らの最後の大会は終わった。
● 全日本バレーボール大学選手権大会3位決定戦(12月5日・東京体育館)
大商大 | 2 | 24-26 | 3 | 筑波大 |
25-22 | ||||
34-32 | ||||
26-28 | ||||
10-15 |
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