世界28ヵ国から参加した学生が、1週間の共同生活を送るPCY。文化の違いを認識し、自分たちの生活と世界との結びつきを考える「価値再発見プログラム」、世界平和実現に向けて学生が何を成すべきかを数日かけて議論する「グループワークプログラム」、そして導き出された憲章を発表する「世界学生平和会議」という3つのプログラムから構成される。参加学生らは、互いの価値観をすり合わせた上で英語での議論にのぞみ、当日の明け方まで「世界学生平和憲章」の作成に励んだ。

 

 同憲章では「紛争と兵器」、「開発と貧困」といった世界で最も深刻であると考えられる問題について、PCY参加メンバーらが互いに協力し解決策を模索、提示していくことなどを表明。学生代表として同憲章の発表を行った西田尚史さん(東京大・3年)は、PCYを通して「世界に良い影響を与えるために、私たち世代の持つ可能性を信じることが出来た」と話した。

 

 

 トークセッションに出席した第14世ダライ・ラマ法王は、同憲章について「正直で開かれた話し合いを行ったのは素晴らしいこと」と評価し、「この中で留めるのではなく各々の大学などで、自分たちの得た経験を多くの人に広めていってほしい」と学生らに語りかけた。学生の質問にも答え、アドバイスを送った。また、憲章発表に先がけて「恒久的世界平和の実現に向けて」と題して5000人の聴衆に向け講演。「祈るだけでは世界平和は達成できない。何らかの実行力を持ってアクションを起こさないといけない」と語った。日本の若者へは「みなさんの限りない可能性、能力を外の国々においても発揮できる」と英語の学習を勧めた。

 

 

 講演を聞き、PCY参加メンバーの諸江和佳奈さん(京都大・2年)は「語り口に法王の人生観を感じた」と感じ入った様子。1週間に及ぶPCYの議論については「すごくクリティカルな目線で集まったメンバーなので、張り合いがあって楽しかった」と笑顔を見せた。途上国でのエイズ被害など母子保健分野での活動に興味があると話し、「本当のニーズを伝えていく活動がしたい」と決意を新たにしていた。