宝塚に人のつながりを
「人のつながり」をコンセプトに、宝塚の活性化を図ることを目的とした同イベントは今年で2回目。今夏、ウィーン研修に行ってきた学生らは、現地で買い付けたオルゴールや食器を物産展で販売した。その他にも会場に隣接した施設「SANTA CRUZ」と提携して「ウィーン風のカフェ」を開くなど、姉妹都市であるウィーンの魅力を伝えるため、さまざまな工夫を凝らした。
◎個性豊かなファッションショー
ファッションショーには、神戸大・関西学院大・神戸女子大の3大学から計4つの服飾サークルが出場した。
「ウィーン」、「宝塚歌劇団」、「手塚治虫作品」の3要素を用いて表現する同ファッションショーでは、初めに神戸女大の「fsk9b」が登場。宝塚歌劇団の豪華で優雅な雰囲気をつかみ、華やかなドレスや燕尾服を披露した。続く関学の「kalon」は、「共存」という抽象的なテーマをシャープに表現。また関学2チーム目の「wiθ」は、モデルを包み込む白い布に舞台上ではさみを入れるという斬新な演出を試み、観客が息をのむ場面もあった。
優勝したのは、神戸大の「sheep」。「情熱」をテーマに、赤、白、金の3色をイメージカラーとした統一感のある世界観を観客に魅せた。
「sheep」クリエイター代表の宮本麻央さん(神戸大・2年)は、「勝つことを考えず、やることを一生懸命やっていました。優勝とかは意識せずやっていたので、予想外でうれしいです」と、笑みをこぼした。
◎元タカラジェンヌによるトークセッション
トークセッションのゲストには、元タカラジェンヌの但馬久美さん、東千昇さん、立ともみさんの3人が招かれた。会場となった宝塚文化創造館(旧宝塚音楽学校)で2年間の宝塚音楽学校生活を送った3人は、それぞれの宝塚時代の思い出を語った。
「授業の一環として、太鼓を叩きながら宝塚ファミリーランドの中を通った際、太鼓の音に興奮したゾウに水をかけられた」と話すのは但馬さん。それぞれ宝塚時代の豊富なエピソードで会場の笑いを誘った。
3人の学生時代に共通していたのは、宝塚市民との関わり。東さんは、「阪急電車に乗り遅れそうになっても、車掌さんが電車を止めて待ってくれていた」と話し、以前は宝塚市民が学生の成長を見守り、人の温かさが感じ取れたことを懐かしんだ。しかし、「今はファミリーランドがなくなり、高層マンションが増え、情緒がない」と立さんは指摘。これからの宝塚に望むこととして、「木があればいいな。人が集まれるような広場があったらいいかも」(但馬さん)、「地域に誇れる大劇場があるのだから、市民と劇団がもっと交流したら」(東さん)など、多くの提案がなされた。
トークセッション終了後、シークレットライブとして3人から歌のプレゼントが贈られた。披露されたのは、宝塚歌劇の名曲「愛あればこそ」、「すみれの花咲くころ」の2曲。元タカラジェンヌによる美しい歌声で来場者を魅了した。
トークセッションの司会を努めたグループリーダーの中森麻紗美さん(関学・2年)は、「どれだけ多くの家にまわれるか、広報するのが一番大変だった」と振り返る。しかし、当日は雨にもかかわらず、予想以上の大盛況。「本当の人のつながりを知ることができた」と満面の笑みを浮かべた。
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