関西学院大は同志社大に68-63で勝ち、最終順位3位以上でのインカレ(全日本大学バスケットボール選手権大会)出場を確実にした。関西大は立命館大は95-65で下したため、インカレへの最後のひと枠のゆくえは、明日の最終戦へと持ち越された。

◯天理大 「らしい」勝利で3連覇

強敵を圧倒し、ねじ伏せる。今シーズン苦しみ抜いた天理大が、大一番で「らしい」試合をやってのけた。

圧巻は第3Qだ。SG大谷とPG平尾の3Pなどで47-28とリードを19点に広げると、「コントロールせずに思い切ってやれ」(二杉監督)。天理大のセオリーにはない速攻を連発。相手のお株を奪うアップテンポなバスケットで、懐の広さを見せつけた。この出だしの猛攻で実質、優勝は手中に収まった。

「清水、平尾が元の状態に戻ってきたのがうまくいった要因」と二杉監督。負傷からの復帰後、本調子でなかった2人の復調を喜んだ。

主力の欠場が相次いだ今季。第5節には関西大に敗戦を喫するなど、苦戦を強いられた。大谷は「控えのメンバーががんばってくれたんで助かった。みんなでつかんだ優勝です」。主力不在期間、チームを支えた選手らへの感謝を話した。

◯二杉監督 明るいバスケで苦境乗り切る

二杉茂・天理大監督。ずんぐりとしたシルエットに太い眉、穏やかな語り口で独特の存在感を放つ63才だ。「お父さんと先生の間ぐらいな感じ」(SG大谷)、「父親みたいな存在」(PG清水)。教え子は彼を、親のように慕う。

下宿生の多い選手らと夕飯を共にすることもしばしば。金銭的な負担を減らすため、試合会場まで連れていけるようバス運転の免許も取得した。「普段はおもろいおっちゃん」とPG平尾。同じ目線に立った接し方が、年の差40才の絆を育んできた。

王者のバスケは明るい。いわゆる「スポ根」的な必死さとは対極の、ゆるりとした余裕を持つ。「力を加減して行かないとオーバーヒートする。マイペースで行こう」。練習は長くて2時間。試合中のベンチの応援にも、どこか間の抜けたユーモアがある。6月の西日本大会。優勝してはしゃぐ選手らの傍らで「楽しそうにやっとるでしょ」とほほ笑む監督の姿があった。

リーグ戦はケガなどでなかなかフルメンバーがそろわなかった。ちぐはぐな試合が続いたが、「コミュニケーションがとれていたので分裂しなかった」(二杉監督)。苦境にも、楽しく明るいバスケはびくともしなかった。

自身初となるV3の快挙。だが結果が全てではなく、学生にはバスケを通して価値ある何かを得てほしいと思う。「甘っちょろいんやと思うけど、今年は3冠王になったし、学生には(自分たちのやり方に)自信を持ったらいいよ、といってやろうと思います」。

会場を後にするバスの中。ハンドルを握る「運転手」の後ろで、やんちゃな勝利のおたけびがこだました。

関西学生バスケットボール男子1部リーグ 最終節1回戦(10月23日・京産大体育館)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  1Q 2Q 3Q 4Q
天理大 22 15 29 26 92
京産大 22 4 19 18 63

 

 

 

 

 

 

  1Q 2Q 3Q 4Q
関大 19 24 24 29 95
立命 16 16 11 22 65

 

 

 

 

 

 

  1Q 2Q 3Q 4Q
大商大 14 16 19 17 66
大産大 14 17 12 25 72

 

 

 

 

 

 

  1Q 2Q 3Q 4Q
同志社 21 18 13 16 68
関学 17 13 21 12 63

【坂上正人】